介護業界は継続的に人手不足ですが、2025年に向けてさらに深刻化していく見込みです。
その対策として、離職した看護師や介護福祉士を登録する人材バンクを創設することが、2015年8月29日の日経新聞で一面トップ記事になっていました。
「看護・介護、復職しやすく 離職者の人材バンク整備」
2025年問題とは
介護福祉士の人材バンクについて書く前に、2025年問題について軽くふれておきます。
簡単に説明するとこんな感じです。↓
【2025年問題とは】
団塊の世代が75歳以上になり、超高齢化社会となる。
その結果、年金、医療、介護などの社会保障に必要な費用が急増すること。
少子高齢化ですので、お金(税金)を稼ぐ生産年齢人口が減り続け、お金(税金)を使う社会保障が必要な高齢者が増え続けます。
で、このグラフでは2025年までしかありませんでしたが、その先の推計を内閣府が出していますのでご紹介します。
2025年以降も高齢化率は増え続け2060年には40%に迫る勢いです。
2025年問題といいつつ、少子化が改善されなければ2030年も2035年も問題は拡大し続けていきます。
まさにお先真っ暗。
ただ、75歳以上の高齢者の人数という点で見ると、2030年をピークに横ばいとなっています。
単純に介護の仕事ということで考えるなら、大体2030年までは仕事が増え続けるということになりますね。
人手不足に効果があるのか?介護福祉士の人材バンク
前置きが長くなってしまいましたが、人口の予想から介護の人手不足はまだまだ続いていくことが明確なので、それを何とかしようという新しい試みのひとつとして介護福祉士の人材バンクが創設されます。
介護福祉士の人材バンクとは
介護福祉士の人材バンクの特徴を箇条書きにしてみます。
- 介護福祉士が離職する時に氏名や連絡先などを登録する
- 登録は都道府県の社会福祉協議会が運営する福祉人材センターに離職届を出す
- 登録は努力義務
- 登録した人に研修会の案内や求人情報を送る
- 2017年度から開始する
まず気になったのは、介護福祉士限定ということですね。
介護の資格には介護福祉士以外にも、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)や実務者研修などがあります。
それ以外にも無資格で介護の仕事をしている人もいますからね。
その人たちをスルーしている理由がよくわかりません。
良い人材を集めたいのか、民間企業の介護士転職サイトに配慮しているんですかね。
また、登録は努力義務ですので、どれだけの人が登録してくれるのか未知数です。
【努力義務】
日本の法制上「〜するよう努めなければならない」などと規定され、違反しても罰則その他の法的制裁を受けない作為義務・不作為義務のことである。
努力義務 – Wikipedia
できれば登録してください、でも登録しなくても罰則はありません。ということなので、登録した際のメリットをしっかりと打ち出さないと人材バンクへの登録者は増えないですね。
メリットとして考えられるのが、復職に向けての研修が受けられるとか質の高い求人に応募できるとかでしょうか。
現場から長期間離れると復職の意思があってもためらうケースがあるので、それをうまくフォローできる施策が必要ですね。
介護福祉士の人材バンクは、介護職の人手不足に大した効果がないのでは
介護福祉士の資格を持っているということは、介護業界では「使える」人材であることが多いです。
その優秀な人材が復職する可能性を上げるという点では、介護福祉士の人材バンクは良い取り組みだと思います。
ただし、介護福祉士の人材バンクに登録される人数がかなり少なそうな印象なので、人手不足にどれだけのインパクトがあるのかは疑問ですね。
まあ、時々話題になる外国人労働者の受け入れよりは効果が高いでしょうかね。
参考 介護現場の人材不足が外国人労働者の受け入れでは解消できない2つの理由
まとめ
根本的な原因は少子化なので、そこを解決しないとねー。
高齢者が増えても、それを支える人(お金)が増えればいいんです。
予算があれば介護職の給料が上げられて、自然と人材は集まるでしょう。
社会保障に使えるお金がどんどん少なくなっていく中で、介護の人材不足を解決しようとするのは至難の業だといえるでしょうね。
たいした効果が見込めないことを大きく取り上げちゃってさ。ってのが正直な感想でした。
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