認知症の人は、2012年の時点で462万人。2025年には700万人になる予想があり国をあげての対策が必要となっています。
厚生労働省は2013年度から「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」を掲げて認知症の対策に取り組んできていましたが、2015年1月に新戦略として「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を策定しました。
この戦略に基づく施策を来年度から進めると「認知症、地域で見守り 政府が総合戦略」の見出しで2015年1月27日の日経新聞夕刊で記事になっていました。
この「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」について、出来る限りわかりやすく紹介していきたいと思います。
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)とは何か?
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)とは、
政府(厚生労働省)が進める認知症施策のこと
です。
新オレンジプランには、日本政府が、どのような方針で今後急激に増加する認知症に対応していくのかがまとめられています。
厚生労働省のウェブサイトに掲載されており、だれでも閲覧できるようになっています。
「新」オレンジプランってことは「旧」もあるの?
あります。
正確には「旧」はつかず、オレンジプランですね。
オレンジプランは、平成24年6月18日に厚労省が発表し、平成25年度から5か年計画で実施されています。
オレンジプランは厚生労働省が考える主な7つの認知症に関する政策課題を示したものです。
新オレンジプランは、そのオレンジプランをさらにパワーアップさせたものと考えて良いでしょう。
オレンジプランで既に掲げられていた数値目標の引き上げと、新たな施策が加わっています。
新オレンジプランには、どんなことが書かれているの?
新オレンジプランには、基本的考え方と7つの柱が掲げられています。
【新オレンジプランの基本的考え方】
認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。
認知症だからといって介護施設や病院などで隔離してしまうのではなく、なるべく今まで通りの生活を送れるような社会にしていきましょうってことですね。
介護施設の絶対的な不足によって、在宅介護をすすめざるを得ないといった現実もあります。
認知症といっても症状はさまざまで、軽度なら十分日常生活が可能です。
また、心(脳)の病気である認知症は、身体能力的には生活するのに全く問題がないことも多いですからね。
僕も、この方針には賛成です。
では、認知症になっても今まで通り生活できる社会にするためにどのような取り組みをしていくのか。
それが7つの柱に書かれています。
【新オレンジプラン7つの柱】
- 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
- 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
- 若年性認知症施策の強化
- 認知症の人の介護者への支援
- 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
- 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
- 認知症の人やその家族の視点の重視
もう少し具体的な内容については、上記の厚生労働省のサイトにあるpdfファイルをご覧ください。
特に重要なのは、一番最初に書かれている「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」でしょうね。
社会全体で認知症の人を支援していくなら、日本国民の全員が認知症についてわかっていなければいけないのは当然ですよね。
深い専門知識は必要ないですが、認知症の人に対してどういう受け答えをしたらよいのか、どんなリスクがあるのかくらいは理解している必要があると思います。
まとめ
僕は、介護職員として日常的に認知症の人に関わっていますので、認知症の人への対応への不安は少ないですがゼロではありません。
試行錯誤の日々ですね。
介護のプロですらそうなんですから、一般の人が認知症を理解するのはかなりハードルが高いことかもしれません。
でもそこはそんなに難しく考える必要はないと思うんですよね、認知症を100%理解する必要はないんだから。
それよりも社会全体で支えていくなら、認知症の理解よりも地域の人間関係を充実させていかなければ実現は難しい気がします。
都市化が進んでご近所付き合いが希薄になっている世の中で、認知症の人を社会全体で支えていくのはそういった点でも大変ですね。
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