厚生労働省は9月17日に、『高齢者や子どもなどが1つの施設で介護や保育などのサービスを受ける「共生型施設」の普及を促す。』と、新しい福祉サービスの提供方針を発表しました。
「介護・保育の一体型施設を推進 厚労省、ルール検討」/2015年9月18日 日経新聞朝刊
さらに別の日にも記事になっていましたね。
「保育・介護一体」普及促す 施設や人材共有、受け皿不足の解消めざす 厚労省指針 /2016年3月19日 日経新聞朝刊
最初にこのニュースのタイトルを見た時は、「ひとつの施設で介護も保育もするなんて効率が悪すぎる」「ここで働く人は大変そうだな」とネガティブな印象しかありませんでした。
介護施設では入居待ちが全国で何十万人もいて、保育施設も待機児童の問題が大きな話題となっている昨今です。記事を読み進めていくと、今後の日本の少子高齢化と人口の流れに合わせた施策だとわかりました。
共生型施設とは何か
共生型施設とは、乳幼児の保育や高齢者向けの介護、障害者の支援など、現在はそれぞれ別の施設で行っている福祉サービスを1ヶ所で受けられるようにする仕組みです。
また、その福祉サービスの相談や手続きを同じ窓口で応じられるような仕組みも全国の約100の自治体に設けていく計画となっています。
なぜ共生型施設が必要なのか
今回の本題『なぜ共生型施設が必要なのか』ですが、答えは『人口が減っていくから』です。
人口減によって地方の過疎化がより一層進行して、それぞれの福祉サービスの従事者が減ってしまうことと、それぞれの施設が余ってしまうことが予想されています。
介護施設の不足は都市部で特に多く、地方に行くほど少ない傾向があります。
そしてその傾向は今後さらに進んでいくでしょう。
参考 「介護施設13万人分不足 41地域へ移住提言」地方都市移住政策の問題点は何か
定員割れして施設が余っているのなら、集約してしまうのが財政的にも人材的にも良いですよね。
ざっくりとした計算ですが、
介護施設(定員30名)/利用者10名
障害者支援施設(定員30名)/利用者10名
保育施設(定員30名)/利用者10名
という状況だったら、ひとつの施設で30人利用できら良いよねって話だと思います。
なかなかハードルも多いでしょうけどね。
また、管理者や医師、調理師など比較的掛け持ちがしやすい職種の掛け持ちで人材と施設の設備を効率化することができます。
現在の問題点は
さまざまな状況の人を見るには、それに対応できる職員がいなければいけません。
現在は基準があいまいで、共生型施設に配置すべき保育士や介護士の人数、調理場の数などのルールがないことが問題です。
まずはルールを来春までに作成して、自治体や事業者に明示する予定となっています。
また、共生型施設をより効率的に運営するために、介護と保育の仕事が「掛け持ち」できるように、相互の資格取得を容易にするような案も出ているようですね。
まとめ
都市部と地方では、その地域の状況にあったサービスを提供していく必要があるのかもしれませんね。
今回の共生型施設の話は、主に人口が減っていく地域で有効な施策でしょう。
数少ない人材を出来る限り有効に使って、より多くの人が過ごしやすい環境ができたらいいなと思います。
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