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「認知症、2025年に700万人」への対策を自分の経験から考える

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認知症高齢者の人数が、10年後の2025年には700万人になるという推計値を厚生労働省が発表し、それに合わせて新たな国家戦略案を策定したことが「認知症、25年に700万人 厚労省が国家戦略案」と2015年1月8日の日経新聞朝刊で記事になっていました。

僕個人としては、介護を仕事にして毎日のように認知症の人とかかわっていますので、700万人という数字にはそこまで驚かなかったのが正直なところです。
ただ、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症という割合になるそうですので、介護の仕事を通した個人的な経験から対策と言っては大げさですが、感想のようなものを書いていきます。

急激に増加する認知症高齢者

脳の病気である認知症は、高齢になるほど発症率が高くなるので高齢化が進めば進むほど認知症の人の割合も増えていきます。
認知症高齢者の推移2025年に700万人

認知症の人の人数は2012年時点で462万人と推計されており、10数年で1.5倍ほど急増する見込みになっています。

認知症は正確な人数が把握しにくい

ただし、この462万人という数字もどこまで信憑性があるのか疑問です。
その理由は、認知症は人数を正確に把握しにくいから。その原因は大きく2つあります。

1つ目は、「認知症の初期症状は物忘れと区別がつきにくい」ということです。
認知症の第一発見者となる人は家族が多いでしょうから、普段から認知症の人とかかわっている人ならまだしも、普通に生活している中で、初期段階での認知症のサインを見つけるのはかなり難しいと思います。

2つ目は、「認知症の症状を本人が自覚したり家族が感じたりしても、将来への不安などから病院へ受診することをためらう人が多い」ということです。
認知症に対する漠然とした不安から、診察を受けるのが怖いというのはよく理解できます。
また、脳(心)の病気ですからかなりデリケートな問題ですよね。「まだわたしはボケてなんかいないわ。」といって受診を拒否する姿が容易に想像できます。

以上の2つの原因から認知症の正確な人数は把握しにくく、実際には700万人よりも多い可能性は大いにあるでしょうね。

介護職としての経験から考える認知症対策

認知症の人の人数を把握しにくい原因を2つ書きましたが、これを解決することで認知症への対策にもなると僕は考えます。

2つの原因はともに認知症に対する知識(と経験)が不足しているからです。
認知症についてきちんと理解できていれば、物忘れとの区別もつきやすくなるだろうし、病院を受診することへの不安も多少は軽減できるのではないでしょうか。

僕自身、知識ゼロの状態から勉強して介護の仕事を始めました。
教科書で勉強したことと、実際に認知症のご利用者さんとかかわることで学んだことはだいぶ印象が違いますね。
自分の言葉が相手にどの程度伝わっているのかわからない認知症はなんとなく認知症は怖いってイメージがありましたが、今はその部分も含めて会話を出来るようになってきました。

やっぱり実際に認知症の人とかかわらないと認知症を理解するのは難しいというのが僕の素直な考えです。
ただ、それを社会全体として取り組んでいくのはなかなか現実味がないですよねー。
みんなに認知症の人とかかわる機会をってのは難しそうです。

で、落としどころとしては「教育」でしょうか。
どうやって、認知症について知識をつけていくのかが大切ですよね。

新オレンジプランに全部書いてあったw

どうやって、認知症について知識をつけていくのかを考えつつ、この新聞記事にのっている厚生労働省の新しい国家戦略案を探していたら、そこに僕が考えてたことは全部書いてありました(笑)

認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)策定!認知症を地域で支えていく社会を推進するには
認知症の人は、2012年の時点で462万人。2025年には700万人になる予想があり国をあげての対策が必要となっています。 厚生労働省は2013年度から「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」を掲げて認知症の対策に取り組んできていまし...

今回の新聞記事がいう国家戦略案とは「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」(長い…。)のことだと思いますので、少しご紹介します。
詳しくは、厚生労働省のwebサイトにあるpdfファイルを参照してください。
これを読めば、政府がどのように認知症に対して対策をしていこうとしているのかが理解できますよ。

認知症の人が増えることへの対策として、社会みんなが認知症の知識をつけていくというのは、新オレンジプランの基本的考え方である『認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す。』ための7つの柱の一番最初に書かれている「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」がそれにあたりますね。

「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」は、さらに3つの項目があります。

・認知症の人の視点に立って認知症への社会の理解を深めるキャンペーンの実施
・認知症サポーターの養成と活動の支援
・学校教育等における認知症の人を含む高齢者への理解の推進

特に学校教育には力を入れてほしいですね。
これだけ社会問題になっているのですから、認知症だけじゃなく高齢者の問題全般について学校で学ぶ時間をたくさん取ってほしいです。

即効性はないですが、これが一番現実的で確実な方法だと僕は思いますね。
認知症の講義を上手にできる専門家を育成して学校に派遣したり、テキストやDVDなどのわかりやすい教材を作ったり、認知症を題材とした映画を鑑賞して感想を言い合うったりして効果的に学ぶ機会を学校で設けてほしいですね。

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この記事を書いた人

●ユニット型特養12年目
●課長(特養、ショート、デイ、居宅、包括)
●元ユニットリーダー、施設ケアマネ
●介護認定審査員、介護福祉士実習指導者、技能実習指導員
●介護福祉士、介護支援専門員

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