介護の人手不足の原因と「介護職員確保へ数値目標」に加えてほしい『リーダーの育成』

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現在でも介護業界の人手不足は、たびたび話題にあがります。
今後も高齢化がさらに深刻化する事が予想されており、より一層の介護業界の人手不足が見込まれています。

その状況を改善するために厚生労働省が数値目標定める方針だという事で、2014年10月28日の日経新聞朝刊に「介護職員確保へ数値目標、厚労省 賃上げ・資格緩和」という記事が掲載されました。

介護の人手不足、原因と解決策

なぜ介護業界は人手不足なのか、原因をあげることで解決策も見えてきます。
まずは介護業界が慢性的な人手不足である原因を考えてみました。

介護業界が慢性的な人手不足である主な原因

・要介護者の急激な増加
・機械化が難しい
・介護業界の待遇の悪さ(低賃金)
・業務内容(重労働)

ひとつずつ解説していきますね。

要介護者の急激な増加

日本が急速に少子高齢化することに伴って、要介護者が増えて生産年齢人口が減っていきます。
需要が拡大していくのに、供給元となりうる人口が減っていくんですからそりゃ人手不足になりますよね。

参考に総務省のサイトにあった「日本の人口推移」のグラフをのせておきます。
団塊の世代が75歳以上となる2025年に高齢化はピークを向かえる記事には書かれていましたが、少子化により生産年齢人口が減少を続けるために2025年以降も高齢化が進行していくことがグラフより読み取れます。
日本の人口推移

要介護者という点で考えるなら、2025年からさらに5~10年経過した2030年以降に人数のピークを向かえるのではないでしょうか。
これは僕の肌感覚ですが、75歳で介護サービスを利用しているってのがピンと来なくてもう少し年齢が上になってくるのでは。
…と思ってグラフを探したら見つけましたので2つほどはっておきますね。

『年齢階層別の要介護(要支援)認定率』
年齢階層別の要介護(要支援)認定率
『要介護率が高くなる75歳以上の人口の推移』
要介護率が高くなる75歳以上の人口の推移
【出典】介護保険制度の現状と今後 – 厚生労働省(pdfファイル)

2つ目のグラフ『要介護率が高くなる75歳以上の人口の推移』を見ると、85歳以上の人口が1,000万人を超える2035年からが特に大変なことになりそうですね。
その後は「増加率」という点で考えるならほぼ横ばいと言っても良いので、介護者の人手不足は徐々に解消されていくのかもしれません。

機械化が難しい

介護ロボット市場は20年に350億円」などのように介護ロボットの記事も最近よく目にしますが、このロボットの役割は介護を支援すること。
介護サービスの「キモ」となる温かいコミュニケーションや身体介護の大部分は、ヒトがやるしかありません。

もちろん介護ロボットの普及によって仕事は楽になるかもしれませんが、ひとつの介護に必要な人員はほとんど変わらないのではないでしょうか。

介護業界の待遇の悪さ(低賃金)

介護業界が他の業種に比べて賃金が安いことは有名です。
いくら有効求人倍率が高くて就職先が多くても、給料が安ければ人は集まりません。

業務内容(重労働)

何を大変な仕事と感じるかは人それぞれですが、介護と言えば肉体的にも精神的にも大変な仕事といえるでしょう。
僕は、たまたま相性がよかったのかそこまで大変な仕事だとは思いませんが、介護業界に対してブラックなイメージを持っている人は多いと思います。

介護の人手不足の解決策として厚生労働省が提示したこと

記事から引用しますが、介護の人手不足の解決策として以下の取り組みを行うとのっていました。
介護の人手不足、解決策は?

やはりまずは賃上げですよね。
社会福祉にかかわる仕事なんですからせめて公務員並みの給料にしてください!(願望)
仮にそうなって大幅に給料が上がったとしても、介護業界に対するよくないイメージから人が集まるかどうか。
そんなレベルだと思います。

資格取得要件の緩和は、サービス品質維持の点からどうなのかという意見もありますが、僕は全然かまわないことだと思います。だって無資格でも就職できちゃうのが現状だし。
それにはっきりいって資格の有無が介護業界への参入障壁になっているとは思えません。
介護業界に就職するのは資格が必要そうだから介護業界は遠慮しときますって話は聞いたことがないです。

事業者的には資格の有無が加算の要件になっていたりするので関係あるのかもしれませんが、資格取得要件を緩和したところで人員不足に対してほとんどプラスになることはないでしょう。

外国人受け入れに対しては、今のところ絶対数が少なすぎるので人員不足に対するインパクトはほとんどゼロでしょうね。

【参考】

介護現場の人材不足が外国人労働者の受け入れでは解消できない2つの理由
外国人技能実習制度の対象職種を介護にも拡大して、今後さらなる人材難が予想される介護現場の対策とすることが新聞記事になっていました。(2015年1月24日日経新聞朝刊「介護職、外国人を拡大 厚労省素案、技能実習の対象に」「小手先の対応は限界 ...

僕が介護業界の人材に対して感じること

少ない計測範囲ではありますが、僕が介護業界の人材に対して感じることを少しだけ。

介護の仕事って誰にでも出来ることがほとんどです。
だって一般のご家庭で介護をしている人だってたくさんいるわけですから。

だから無資格で経験や専門知識のない人でも就職できちゃうところが多い。
それはそれで仕方のないことではありますが、その未経験者をきちんと指導できるリーダーが不足していると感じています。

確かに未経験でも出来る仕事ではあるのですが、専門的な知識があるのとないのとでは介護の質が全然違ってきます。
しっかりと指導の出来るリーダーを育成して、そのリーダーには一般の職員よりも圧倒的に多くの給料が支払われるような仕組みが必要だと思っています。

良いリーダーに指導されれば離職率も下がるし、そのリーダーを目指してさらに前向きに仕事に取り組むような好循環も生まれるのではないでしょうか。
個人的な意見ではありますが、ぜひリーダー育成につながるような施策を打ち出してほしいですね。

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この記事を書いた人

●ユニット型特養13年目
●課長(特養、ショート、デイ、居宅、包括)
●元ユニットリーダー、施設ケアマネ
●介護認定審査員、介護福祉士実習指導者、技能実習指導員
●介護福祉士、介護支援専門員

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