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賃上げの効果あり?前年比1.3万円増で2015年度の介護職員の月給が平均28.7万円は本当なのか

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給料
2015年度の介護職員の月給の平均が28.7万円だったと新聞記事になっていました。

厚生労働省が30日発表した2015年度の介護職員の賃金調査によると、平均月給は28.7万円と回答者の前年実績より1.3万円上がった。
それでも全産業の平均や介護施設の他の職種よりも低い。

引用 介護月給、15年度28.7万円 前年比1.3万円増も依然低く
2016年3月31日 日経新聞朝刊

2014年度と比較して月給が1.3万円増えたということで、2015年4月に処遇改善手当を月1.2万円上乗せした施策の効果があったみたいですね。

ついに決定!介護職員の給料12,000円アップ、介護報酬は2.27%ダウン。これで給料は上がるのか【2015年度/介護報酬改定】
3年ごとに改定される介護報酬ですが、2015年度は改定年にあたります。 高齢化にともない増大する社会保障費の抑制のために、介護報酬の2.27%引き下げが決定した。 と、2015年1月10日の日経新聞朝刊の一面トップで記事になっていました。 ...

それにしても新聞の見出しを見たときは、なかなかインパクトがありましたね。
「介護月給 平均28.7万円」ですからね。
 介護職員の月給の平均28.7万円

介護職員の月給が28.7万円というのは、イメージよりも多い感じがしますよね。
『ツイッター』や匿名掲示板の『2ちゃんねる』などでは、

「こんな調査でっち上げだ」
「28万?なんだそれ。そんなもらってねーよ」

といった声が多数をしめていました。

僕も介護職員の月給の平均が28万円というのは、さすがに信じられなかったので、詳しく調べてみました。

ソース(情報源)は介護従事者処遇状況等調査の結果

このニュースのソース(情報源)は、2016年3月30日に行われた「社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会」で報告された「介護従事者処遇状況等調査」という資料です。(超長い…。)

厚生労働省のホームページに資料がアップロードされていますので、誰でも見ることができます。

参考 第17回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会資料
このページの(資料1)(資料2)(資料3)です。

この調査資料を見て、介護職員の月給28.7万円の「うそ」と「本当」を調べます。

介護職員の月給の平均28.7万円の「うそ」と「本当」

突っ込みどころが複数ありますので、項目ごとにに分けて解説しますね。

月給が月給じゃない??

一番大きなポイントが「月給」という部分です。

NHKのニュースでは「一時金など含めた月額平均」という表記がされていました。
「月給」と「一時金など含めた月額平均」では、だいぶ印象が違いますよね。

資料にはこう書かれていました。

介護職員処遇改善加算(I)を取得した施設・事業所における介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額
平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)

正確には月給ではなく、平均給与額なんですね。
で、一時金というのはボーナスのことです。
「4~9月支給金額の1/6」ということなので夏のボーナスを6で割ったものを考えればいいでしょう。

つまり、平均給与額とは月給にボーナスを月で割った金額を加えたものということです。

具体的な例で考えてみる

【例】
基本給 18万円
資格手当 0.5万円
夜勤手当 0.5万円×5回=2.5万円
住宅手当 1万円
家族手当 1万円
処遇改善手当 2.7万円
ボーナス 基本給の1ヶ月分=18万円

これを「基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)」に当てはめると

18+0.5+2.5+1+1+2.7+3(=18÷6)=28.7

はい、表題の月給28.7万円になりました(笑)
そこまでぶっとんだ例ではない気がするのですが、いかがでしょうか。

手取りではない

お給料の話になると、勘違いしやすいのが自分の手取りと比較してしまうことです。
どうしても自分の通帳に書かれている金額の印象が強いですからね。
総支給額って普段はあまり意識することがないと思います。

先ほどの例が、僕の給料にわりと近かったので、よろしければ僕の給料をご確認ください。
こちら↓のページで公開しています。

本当に安い?現役介護福祉士の給料・年収公開!【2015年度】
特養で勤務する現役介護福祉士の給料(年収・月収)を公開中!安いと言われる介護士の収入と待遇をご覧ください。いろいろな職場で働いている介護士の給料を調査した記事もあります。

2016年3月で、総支給額/24.7万円、手取り/19.2万円って感じですね。
これにボーナスを月で割ったものを足せば30万円くらいかな。

ものすごくざっくり計算すると、平均給与額28.7万円は手取り19万円くらいといえるかもしれません。
ボーナスによってもだいぶ変わってきますけどね。

平均だから、その上も下もある

そもそも平均の数字ですので、もっともらっている人もいれば少ない人もいるでしょう。

たくさんもらっている人はあまり声を上げないよね。
ってことはあるでしょうね。

前年比1.3万円増

前年比1.3万円増という数字は本当でしょうね。
前年度との比較なので、実際に増えているんでしょう。

ただし、これも手取りの金額ではないので要注意です。
ここから税金や社会保険料が天引きされますので、実感としては0.5~1万円のアップって感じでしょうね。

その他の突込みに対する回答

その他にもいくつかの突込みがネット上にあったので簡単に答えていきます。

介護職員以外の職種も含まれてるんじゃないの?

含まれていません。以下の8つの職種別に集計されています。
介護職員、看護職員、生活相談員・支援相談員、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士又は機能訓練指導員、介護支援専門員、事務職員、調理員、管理栄養士・栄養士

この介護職員って介護福祉士の事?ヘルパー資格持ってる人の事?

資格は関係ないです。
介護職員として働いている人全員

まとめ

誤解を生む「月給」という表現はよくないので、改めてほしいですね。
介護職員の平均月給は28.7万円ではありません。

28.7万円は、ボーナスの一部が足されていて、税金と社会保険料が引かれる前の金額です。
手取り20万円弱が平均でしょうね。

そして、月給が1.3万円上がったのは事実でしょうが、新聞記事には、さらにこう書いてありました。

それでも全産業の平均や介護施設の他の職種よりも低い。

なんかちょっと悲しくなりました。
財源が限られているのはわかりますが、もっともっと待遇改善していってほしいですね。

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この記事を書いた人

●ユニット型特養12年目
●課長(特養、ショート、デイ、居宅、包括)
●元ユニットリーダー、施設ケアマネ
●介護認定審査員、介護福祉士実習指導者、技能実習指導員
●介護福祉士、介護支援専門員

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