3年ごとに改定される介護報酬ですが、2015年度は改定年にあたります。
高齢化にともない増大する社会保障費の抑制のために、介護報酬の2.27%引き下げが決定した。
と、2015年1月10日の日経新聞朝刊の一面トップで記事になっていました。
介護報酬2.27%下げで決着 15年度予算案、大枠固まる 利用者・財政負担抑える/日経新聞
それに合わせて、人手不足である介護職員の処遇改善につながる給与の月額12,000円アップも決まりました。
これは介護施設で働く僕としては、素直にうれしいですね。
これで本当に給料は上がるのか?
今回の賃上げは、介護職員処遇改善加算の増額によって実現されます。
介護職員処遇改善加算は、すでに月額15,000円支給されていますので合計で27,000円になりますね。
月々支払われている施設もあるみたいですが、僕が勤務している特養では夏のボーナス時にまとめて支給されています。
僕がもらっている給料に興味がある人は「待遇は改善されるのか?現役介護福祉士の給料・年収公開!【2016年度】」をご覧くださいね。
「処遇改善加算ナニソレ?」な人は、勤務している施設や事業所が加算の要件を満たしていないのかもしれません。
そんな介護職員さんは、この増額でも給料は変わらないかも…。
偉い人に聞いてみましょう。
処遇改善加算の増額はうれしいのですが、僕はこの施策で全ての介護職員の給料が上がるとは思えません。
なぜなら事業者の収入にあたる介護報酬が全体で2.27%ダウンするからです。
ボーナスで調整される
介護報酬というのは、簡単に言うとサービス単価のことです。
介護事業者が介護サービスを行った時にもらえるお金は、介護報酬によって決まっています。
介護報酬がダウンすると介護事業者の収入が減ることになり、当然業績は下がります。
業績が下がった事でボーナスを減らす事業者は多いのではないでしょうか。
実際に僕も業績悪化のためボーナスが削減されました。(この時の原因は稼働率の低下でしたが。)
せっかく処遇改善手当で月12,000円増えても、ボーナスが減らされれば年収換算で給料が変わらないなんてことも起こります。
介護報酬のダウンにはそんなリスクも考えられます。
介護報酬2.27%下げの内訳は
介護報酬の2.27%ダウンは、どの業種も全て2.27%下げるわけではありません。
利益率の高い通所介護(デイサービス)や特別養護老人ホームは下げて、利益率の低い24時間地域巡回型サービスは上がると予想されます。
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介護報酬改定の内訳が公表されたので記事を投稿しました
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まとめ
これで本当に介護職員の給料が上がればいいのですが、なかなか一筋縄ではいかないですね。
介護職員の待遇は、事業所によって格差が広がっていきそうな気がします。
待遇が良く介護職員を大切にする事業所には人材が集まり、その結果良い介護が出来る。
そんな良い事業所を見極める眼も介護職員には必要なスキルになってきますね。
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【追記】さらなる待遇改善も?「2017年度(平成29年)から月額平均1万円相当」の給料アップ
(2016年4月27日追記)
保育士の処遇改善に合わせて、介護士の賃上げも行うべきだと新聞記事になっていました。
政府・与党は2017年春から、保育士の賃金を月額で約1万2000円引き上げる方針を固めた。定期昇給制度を導入する保育所への助成金制度も新設する。介護職員の給与も月1万円程度引き上げる。
引用 保育士月給1.2万円増 政府・与党、17年春の定昇導入に助成金/2016年4月22日 日経新聞
政府が2016年5月にまとめる「ニッポン1億総活躍プラン」に向けた提言案ということですね。
不足が深刻な介護職員を確保するために、次回の2018年度介護報酬改定を待たず、2017年の春から賃上げする可能性が高そうです。
どういう形で上げるのか(支給方法)、財源はどうするのか、などまだ決まっていないことが多いのでどうなるかはわかりませんが、首相の発言ですからどういった形であれ実現してくれるでしょう。
さらなる賃上げを期待して続報を待ちたいと思います。
【さらに追記】2017年4月から介護職員の給料が月額1万円アップ!?さらなる処遇改善の実現へ
(2017年2月17日追記)
上記の処遇改善が2017年4月から実現することになりました。
詳細は↓こちらの記事をご覧ください。
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