2014年10月25日の日経新聞朝刊に「特養ホームの相部屋、利用者全額1.5万円負担に」という記事が載りました。
高齢化による社会保障費の増大が大きな問題となっていますが、特別養護老人ホーム(特養)利用者の自己負担額を増やすことによって社会保障費を抑制していこうというお話です。
社会保障の費用については、財務省の「日本の財政を考える」を見るとざっくりと理解できます。
この施策によって何がどの程度変わってくるのか書いていきたいと思います。
「特養ホームの相部屋、利用者全額1.5万円負担」で何が変わるのか
この記事の要旨をまとめるとこんな感じです。
・厚生労働省が、特養の相部屋の費用(家賃)を利用者の全額負担とする検討に入った。
・現行は1割負担で済む介護保険で賄っていたが、保険から外して保険給付を抑える狙い。
・2015年4月の実施を目指す。
・金額は月1万5千円とする案が軸。
・光熱水費も1千円引き上げる。
特養が、他の介護施設や在宅介護に比べて金銭面で優遇され過ぎている。と感じていた僕としては、良い施策だと思いました。
部屋代1万5千円は妥当な金額か?
みなさん、家賃が月15,000円だったらどうですか?
超嬉しいですよね。
まあ問題は基本が4人の相部屋であることです。
特養で生活する人は、自立度が低くベッド上で多くの時間を過ごしている人がかなり多いです。
排泄介護もそこで行われる人が多くプライバシーへの配慮が問題にはなります。
ちなみに、近年整備されている特養で主流の個室では、部屋代は50,000円です。
この差は大きいですね。しかも毎月払うものですからね。
さらにちなみにですが、有料老人ホームでは10数万円の家賃を取っているところが一般的です。
だから特養の待機者が52万人を超え、さらに増え続けているのは自然なことですよね。
だって圧倒的に安いんですもの。
それを是正していきましょ、ってのが今回の施策なわけです。
この施策で負担増の対象となる人はどのくらいいるのか
2014年現在の特養利用者は約52万人、そのうちの6割が相部屋です。
また、特養利用者全体の8割が住民税非課税の低所得者です。
低所得者の特養利用者については、食費や部屋代などを介護保険から補助し負担を大幅に軽減しているのが実態です。
つまりこの施策に関しても大多数が負担金額は変わらないという事が言えます。
実際にこの部屋代の負担が増える人は、特養利用者52万人のうち10万人を大きく下回りそうだとの試算が出ています。
現時点では、社会保障費の抑制という点においてはかなりインパクトが小さいと言えるのではないでしょうか。
厚生労働省の方針転換も見え隠れ
厚生労働省は、特養では今までプライバシーに配慮した個室化を推進してきました。
しかし、ここにきて方針を転換し相部屋を推進していこうという流れに。
それも今回の相部屋での負担増と関係がありそうです。
いずれにせよ、この施策では社会保障費用の抑制効果は限定的だと思いますが、こういった細かな改定を積み重ねて払える人からしっかりお金を集めていくしかないんでしょうね。
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