6月は上場企業の多くが決算を発表する時期ですね。
介護サービス大手の各社からも2016年3月期の決算が発表されました。
介護サービス大手各社が2016年3月期決算を発表した。
最大手のニチイ学館は、介護事業とヘルスケア事業を合わせた売上高が1470億9800万円(前期比1.5%減)で、営業利益は72億5000万円(同38.5%減)。
介護人材の確保が計画通り進まず、訪問介護などの利用者数が減少したことが響いた。
今後は中国事業の本格展開や、保険外の家事支援サービスの拡大などによる収益力強化を目指す。
引用 nikkei BPnet
ニチイ学館以外にも、利益が減少している企業が多くありました。
2016年3月期の決算からわかることを書いていきたいと思います。
介護サービス大手各社の2016年3月期決算
ニチイ学館の売上高1470億円に目が行きがちですが、注目したいのは前期比です。
前期に比べてどうだったかを見ることで、業界全体の流れがつかめます。
全体的な印象としては、売上高が10%弱増加しているのに対して営業損益が軒並み大幅に減少しているのが気になりますね。
いわゆる増収減益です。
売上高からわかること
事業所ごとに定員が決まってしまう介護事業の場合、「売上高イコール事業規模」と考えて良いでしょう。
基本的に、売り上げを伸ばすには事業拠点を増やすしかありません。
どの大手企業も売上高が伸びているので、順調に介護施設や事業所を増やして事業規模を拡大できていると考えられます。
まあ、単純に高齢者の人数が増えていますからね。
当然の結果ともいえるでしょう。
↓こちらは年齢ごとの人数の推移ですが、2040年ごろまでは65歳以上の高齢者の人数が増加し続ける予想になっています。
棒グラフの1番下と2番目が65歳以上の人数です。
売り上げが伸びるということは、それだけ利益を伸ばすことが出来る「可能性」が上がります。
利益が上がれば、そこで働く従業員の給料も上がる可能性が高まりますね。
営業損益からわかること
ただし、実際には多くの企業で利益がダウンしています。
今期の数字だけを見れば何億という利益が上がっていますが、大事なのは前期比です。
減益の原因として考えられるのが、人手不足による人件費の増大と2015年度の介護報酬改定でのサービス単価の低下ですね。
さらに、介護事業への参入が増えて稼働率が低下していることも考えられます。
お客さんである高齢者の人数の増加以上に介護事業者が増えて、競争が起こった結果として利益が上げにくくなっているということですね。
簡単に集客が出来る状況から、サービスの質を高めていかないといけない状況に変わってきています。
大手企業と介護職員の給料の関係性
それでも、一般的な企業と同じように事業規模の大きな大手企業の方がそこで働く従業員の給料は高いです。
↓この記事でも書いていますが、統計からもそれが分かります。
賃金構造基本統計調査による、企業規模別にみた年収をデータです。
10~99人 | 100~999人 | 1000人以上 | |
---|---|---|---|
介護支援専門員(ケアマネージャー) | 369.5 | 369.7 | 379.3 |
ホームヘルパー | 294.2 | 305.1 | 336.3 |
福祉施設介護員 | 309.5 | 317.6 | 335.0 |
従業員の人数が多いほど、そこで働く人の給料が高い傾向があります。
ただし、これはあくまで平均ですからね。
事業規模が大きいのに給料が安いことも、もちろんあります。
まとめ
どれだけ売り上げが上がっても、利益が増えなければ介護職員の給料は上がりません。
業界全体が減益傾向であることは明らかなので、転職して給料を上げたいという人は事業規模だけでなく利益をきちんと上げられる企業なのかという点も考えたいですね。
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