この1週間、入浴介助を頑張りすぎて腰痛が悪化したヒデ(@marukaigo)です、こんにちは。
こちらの「快適・腰痛知らず【介助リフト】導入しよう」という記事を読んで、特別養護老人ホーム(特養)という種類の施設で働く僕が思ったことを書きますね。
特養とは介護度が高く、たくさんの介護を必要としている利用者さんが生活している施設ですので、介助リフトに対するニーズは非常に高いです。
しかし、特養において介助リフトを導入する事はそう簡単にはいかないのではないか、というのが僕の実感です。
介助リフトとは
↑この写真のようにハンモックのような状態で、ベッド⇔車いすなどを移乗する道具です。
認知症などの疾患によって立てなくなってしまった人や、足に力が入らず十分に立位が取れない人などは介助者が抱え(支え)なければいけないので、介助者の身体にかかる負担が半端ない。
ヒトって小柄で痩せていても40kgとかあるわけですよ。
その重さの一部、場合によっては全部が介助者にかかってくるんだからね。あまりに大変な人は2人で介助しますけど、腰がやられてしまうのは必然でしょう。
その負担を取り除いてくれるのが介助リフトです。
特養に介助リフト導入が難しい理由
元記事では、
どんどん普及して、業者さんには競合していただき、価格競争してもらいましょう。
厚労省の改訂が助成金へと繋がっていかないかしら。今リフトマーケットが熱い!とかなったらいいな。
とありますが、確かに在宅での普及を目指すならば価格が下がれば実現できるかもしれない。
でも、施設での普及を考えるならばそれだけでは全然足りません。
介助リフトは時間がかかる、時間がかかる、時間がかかる
大事なことなので3回も書きました(笑)
金銭的コストよりも時間コストの方がつらいのではないかと思います。
僕が働く施設でも、介助リフトを導入しようという話が上がりデモ機を3種類ほど使用させてもらったことがあります。
職員どおしで使用して、僕もベッドに横になった状態から介助リフトで持ち上げてもらったりしたんですが、とにかく時間がかかります。
もちろん初めて使ったので不慣れだったこともありますが、慣れたとしても通常の移乗より5分ぐらいは時間がかかりそうな印象を持ちました。
たかが5分、されど5分。
介護現場にとっての5分はとても貴重です。
それに、これは1回の移乗につき5分余計に時間がかかるってことなので、1日で換算するとさらに大変です。
僕の職場で介助リフトを導入することになったら、ぜひ使用したいご利用者さんのジョージさん(仮名)。
ジョージさんは臀部の皮膚が弱いので、長時間車いすに座っていることが出来ないから、食事以外はほぼベッドで過ごします。
そのジョージさんが1日に何回ベッド⇔車いすの移乗をするのかっていうと、『起床時、朝食後臥床、昼食、昼食後臥床、おやつ、おやつ後臥床、夕食、夕食後臥床』の合計8回で、入浴する日はさらに増えるかもしれません。
単純計算で5分×8回=40分の時間が余計にかかることになり、しかも、介助リフトを使いたい人はジョージさんだけではありません。
どーやってこの時間を捻出するのか、ちょっと思いつきません。
元々記事でも
「リフトの移乗は時間が掛かる。同じ時間帯に利用者が集中しないよう食事時間や回数などケアそのものも見直さないといけない」
とは書かれていたものの、具体的にどのようにしてこの時間の問題を解決していったのかが書かれていませんでした。
ぜひともその点が知りたいですね。
時間コストを解消する方法
施設で働く介護職員は、日々、工夫に工夫を重ねて時間を作っているって人が多いんじゃないでしょうかね。
僕はそうです。
それなのに忙しくって手が回らない部分があるっていう現実がある中で、さらに介助リフトを使う時間を作ってねって言われたら相当しんどいです。
泣きそうです。
人員を増やす
僕が考えられる解決策は、残念ながらこれしかないです。(誰かアイデアとか成功事例とかください。)
でも、社会保障費を抑制しようという今の流れの中で、この先介護報酬が大きく上がることは考えにくいですよね。
それでいて、介護施設は人件費が支出の大部分を占めているわけで、そう簡単には人員を増やせません。介護職に就きたいって人が少ない現実もあります。
全国の介護施設に介助リフトが定着する日はまだまだ遠いなーというのが僕の実感です。
介護報酬がガッツリ上がればあっという間に実現しそうですが、そんな状況は想像もつかないのが悲しいところです。
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