2015年度から、介護スタッフの月給を平均1万2000円上げる方針を決定したことに関連して「介護、官製賃上げに限界 政府、スタッフ待遇改善めざすが… 大規模化で生産性向上必要」と、2015年2月19日の日経新聞朝刊で記事になっていました。
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なぜ「介護、官製賃上げに限界」なのか
2015年度から、現在は月額1万5千円支払われている処遇改善手当(介護職員処遇改善交付金)をさらに1万2千円増額して合計2万7千円にすることが決まっています。
政府は、これにより人手不足で悩む介護職員の賃上げを目指しているのですが、それはうまくいかないのではないかと新聞記事にはのっていました。
まずは論旨をピックアップしますね。
・介護スタッフの賃上げでは勤続が1年延びるごとに賃金表に従って増やす「定期昇給」が8割近くと最も多い
・賃金表そのものを書き換えて一律に水準を底上げする「ベースアップ」は1割どまり
・重労働な介護現場は2年未満で退職する人が全体の3割にもなり、短期間で転職したり辞めたりする構造そのものが変わらないと、賃上げ効果が現場まで及びにくい
・介護業に従事する人は約250万人だが、賃上げの対象はその7割を占める介護スタッフのみ
・介護に直接携わらないリハビリ専門職や調理師などは対象外で、現場の運営実態から離れた方策
・事業者の収入となる介護報酬が2015年度より2.27%下げられるため、減収で経営難になる事業者は介護スタッフの賃上げに取り組みにくい
・むしろ人件費を抑えるためにボーナス削減などが進み、待遇は良くならない
ということです。
介護報酬のダウンによってボーナスが削減される可能性があることについては、僕も同じことを考えていて「ついに決定!介護職員の給料12,000円アップ、介護報酬は2.27%ダウン。これで給料は上がるのか」という記事で書きました。
また、「ベースアップ」については、僕も今の特養に勤めて5年になりますが1度も経験がないですね。ニュースで自動車業界などのベースアップが話題になっているのを見て、いつもうらやましいなーと思ってます。
ただ、介護事業がベースアップがしにくいっていうのは、事業の特性上当然なんですよね。
なぜ介護事業はベースアップしにくいのか
介護事業というのは、基本的に人対人のサービス業です。
機械の導入やイノベーションによって劇的に利益が上がるようになるってことがほぼあり得ないので、製造業などに比べて生産性を上げにくいんですよね。
まあ、現在の事業環境的には顧客となる要介護者が多く、さらに今後もしばらくは増え続けるので安定的に経営がしやすいといったメリットもありますけどね。
会社の利益が一定なら、人件費が増加してしまうベースアップは難しいのは当然でしょう。
大規模化での生産性向上が必要
そこで考えられるのが、介護事業の大規模化です。
介護事業に限ったことではなく、一般的に事業を拡大して仕事を合理化することで生産性は向上します。
記事にもありましたが、介護事業は零細経営が非常に多いです。
・介護サービスを提供する施設や事業所は全国で34万カ所。そのうち職員数が10人未満の法人が約2割、10~50人の法人が約3割をしめる
・特養ホームの運営をほぼ独占する社会福祉法人も、半数が「1法人1施設」の状態
この現状から、事業者集約を促す規制緩和や制度改革を行なって生産性を向上させることで賃上げにつながるのではないかということですね。
まとめ/良い給料の職場を探すには
以上のことを踏まえると、介護業界で少しでも収入の良い仕事を探そうとするなら、すでに大規模に事業を行なっている会社をねらうというのも1つの方法かもしれません。「大企業=待遇がいい」という可能性は高く、介護業界の中でも大企業はありますからね。
参考/やっぱり大企業はいいなあ「介護大手、相次ぎ賃上げ 深刻な人手不足に対処」
もしくは、新しく運営する施設を増やしているような事業を拡大していっている企業も将来性がありますね。
まあ給料については、その事業者の運営方針によるので一概に大きな企業だったら安心というわけではないでしょう。特に介護は給料が安いというイメージが強いので、それに乗じて安い給料で雇ってしまおうとする企業も多いです。最終的にはきちんと自分で調査することが大切ですね。
介護業界で就職先や転職先を探す時に、その法人の規模も考慮したら金銭面で納得できる会社が見つかるかもしれませんよ。
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