僕は特養でユニットリーダーをしているので、人事考課ではユニット職員を評価しています。
その反対に、上司である介護主任に評価される立場でもあるので、両方の気持ちを理解しているつもりです。
自己評価は、自分の思っていることを素直に書くことが正解ではありません。
想い(狙い)が伝わるように考えて書かなければいけません。
といった相談にどう答えているのか。
また、自分が書く時には、どんなことを意識しているのかをご紹介します。
人事考課の自己評価は実績をアピールするチャンス
まずは自己評価のお話から。
自己評価で何を書いたらいいのかわからない。というのは良くある悩みですね。
その原因のひとつが
「なぜ人事考課や自己評価を行うのか理解できていない」
ことです。
人事考課や自己評価を行う理由を理解して、どういう視点で自己評価を書いたら良いかを考えていきましょう。
人事考課の目的:実績を適切に評価して、給料の査定や人事異動の参考にする
人事考課は何のために行うのでしょうか?
人事評価または人事考課とは従業員の業務の遂行度、業績、能力を評価し、賃金や昇進等の人事施策に反映させる仕組みのこと。
出典 人事評価/wikipedia
人事考課は、給料を適切に払うためにあるといっても良いでしょう。
どうやったら実績を評価してもらえるかを考えることが重要です。
今までやってきたことが評価されるわけですから
と考えて、積極的な気持ちで自己評価を書いていきましょう。
自己評価の目的:上司と部下の認識のズレをなくす
自己評価は自己アピールの場と考えてよいのですが、それを評価をする上司は違った視点で見ます。
それは、部下自身の能力の認識と上司の評価がズレていないかを確認することです。
つまり、
現状の正しい認識が適切な目標設定につながり、成長に結びつきます。
そして、最終的には企業の利益が上がることで給料がアップするわけです。
上司に喜ばれる自己評価の書き方
僕が、ユニット職員を評価する時にまず考えるのは
頑張っている職員の評価を上げたい!
です。
それを手助けする内容が自己評価に書かれていると嬉しいですね。
申し訳ないのですが、部下の頑張りの全てを把握できているわけじゃなので、
です。
だから、僕が自分の自己評価を書く時は、
方法を取っています。
そして、やろうと思ったけどできなかったことや、失敗、改善が必要だなーって思っていることは、なぜ出来なかったのか、なぜミスしたのかといった理由と、どのように改善するのかを前向きに書いています。
そうすることで、マイナス面もプラスにとらえることができますからね。
自己評価を書くタイミングでアピールすることがない。というのは、残念ながらもうどうしようもありません(泣)
次回の自己評価で、たくさんアピールできるように日々の業務を頑張りましょう。
自己アピール(本人コメント)のヒント
自己アピールをする際に、上司がどんな点を評価するのかを知っておけば書きやすくなるかも知れません。
「上司の評価を上げよう!介護職の人事考課(査定)で見られるポイント」という記事で、僕がユニット職員を評価しているポイントをご紹介していますので、詳しくはそちらを読んでください。
僕が評価しているポイントは、大きく5項目ですね。
・成長したか(個人目標の達成度)
・キャリアに応じた能力を発揮しているか
・人為的な事故を起こさなかったか
・体調管理が出来ているか
・時間を守っているか
もう少し具体的に自己アピールの例として書くと、
・欠勤や遅刻、早退がなかった
・常に心身ともに健康な状態で業務にのぞむことができた
・提出物の期限を厳守した
・ヒヤリハットを毎月○件以上あげることができた
・○○というヒヤリハットに対して予防策を考え、実行したことで、リスクを回避することができた
・事故対応を他の職員と連携して素早く行い、すぐに予防策を立案することができた
・ご家族と信頼関係を築くことで、施設の行事に一緒に参加していただいた
・○○委員会の委員として、○○という取り組みを行い○○の実績をあげた
・新人職員の指導者として○○を意識的に行い、成長させることができた
といった感じでアピールすると良いかもしれません。
続いて、個人目標についてのお話です。
僕が評価をするうえで特に重要視していたのが
「個人目標の達成度」
です。
どうやったら良い目標設定ができて、さらにそれを達成することができるのか
について考えていきましょう。
評価されやすい目標設定のコツ
目標を達成できるかどうかは、ほとんどが目標を立てた時点で決まります。
それだけ目標設定が大事なんですよね。
良い目標の条件を知り、自分に合った目標を設定できるようになりましょう。
良い目標の3つの条件
良い目標の条件は以下の3つです。
・頑張れば達成することができる
・自分の能力や経験に合っている
・達成度が評価がしやすい
どうやったら評価をしてもらえるかという視点で目標を考えるわけですから、
たてた目標を達成できなければ意味がありません
これなら達成できるだろうという目標を立てましょう。
ただ、
です。
目標には、それを達成するために努力することで成長を促す目的があります。
自身の成長につながらないような目標は、達成したところで評価は上がりません。
そして、
も重要です。
例えば、「優しい声掛けを増やす」という目標は良くありません。
まず、「優しい声掛け」が何なのかがわからないですよね。
声の大きさ?トーン?声を掛けるタイミング?
それを誰がどのように判断するのかが難しいです。
また、「増やす」というのも何回増やすのか、本当に増えているのかが評価しにくいです。
評価がしやすい目標なら、その目標を達成するための行動も明確になっているはず。
求められる行動が明確なら努力もしやすくなるでしょう。
良い個人目標の具体的な例文
目標設定の方法は、大きく分けて2種類あります。
①自分の得意なことや興味があることを目標にする
②自分のウイークポイント(弱点)の克服を目標にする
オススメは、①の「自分の得意なことや興味があることを目標にする」ですね。
ポジティヴな気持ちで目標に取り組めるので成功率が高いです。
②の「自分のウイークポイント(弱点)の克服を目標にする」場合は、目標を達成した時により大きな成長を感じられます。
では、具体例に入っていきましょう。
自己アピールのヒントであげた項目は、個人目標にできるものが多いです。
・欠勤や遅刻、早退をしない
・常に心身ともに健康な状態で業務にのぞむ
・提出物の期限を守る
・ヒヤリハットを毎月○件以上あげる
・ヒヤリハットに対して予防策を考え、実行することで、リスクを回避する
・事故対応を他の職員と連携して素早く行い、すぐに予防策を立案する
・ご家族と信頼関係を築くことで、施設の行事に一緒に参加していただく
・○○委員会の委員として、○○という取り組みを行い○○の実績をあげる
・新人職員の指導者として○○を意識的に行い、成長させる
経験年数ごとに求められる役割が変わってきますので、たてるべき目標も変わってくるはずです。
大まかに新人(経験1~3年)、中堅(4~6年)、ベテラン(7年~)にわけて解説していきますね。
【経験1~3年】新人介護士の個人目標
新人介護士がやるべきことは、
です。
社会人としての一般常識、介護技術の基本、人間関係など、これから介護士として長く働いていくためのチカラを身に付けましょう。
新人介護士にオススメの目標の例は以下の通りです。
欠勤や遅刻、早退をしない
僕が介護士に転職して一番最初に立てた目標がコレです。
介護の仕事を始めたばかりの職員に最適な目標ですね。
体力的にも精神的にも負担の大きい介護の仕事は、体調管理が大切。
施設で働くなら変則勤務がほとんどなので、それにも慣れなければいけません。
健康管理も仕事のうち。
常に心身ともに健康な状態で仕事に臨むことができる職員は信頼されます。
目標達成度の評価も勤怠状況を確認するだけなので明確ですね。
提出物の期限を守る
時間(期限)を守ることは仕事の基本です。
多忙な業務の中で、何をいつまでにやったらよいか優先順位をつけたり、時間をねん出したりする工夫が出来るようになりましょう。
この目標も明確に評価できることが良いですね。
ただ、自分なりに最大限努力しても、どうしても期限が守れそうにない時がある場面も出てくるかもしれません。
そんな時は、それがわかった時点で早めに上司に相談しましょう。
実はこの目標、期限までに提出できない時のコミュニケーションの取り方で評価が決まるといっても過言ではありません。
ベストを尽くしても期限が守れない時は、業務改善が必要ですからね。
それは主に上司の仕事です。
ヒヤリハット(もしくは生活記録)を毎月○件以上あげる
リスク管理や情報共有に必要な、記録に関する目標です。
変化に気づき、記録を残すことはリスク管理への第一歩。
とにかく件数をたくさんあげることを目標にするのではなく、期間と件数を数字で表すのがポイントです。
目標件数は多すぎても少なすぎてもよくありません。
きちんと努力すれば達成できる最適な数字を自分自身で見極めましょう。
【経験4~6年】中堅介護士の個人目標
介護の仕事を始めて4年目を迎えるころには、介護士の業務にも慣れてきて、得意なことや不得意なことがわかってきた思います。
基本が身に付いた介護士が、次にやるべきことは
です。
わかりやすく表現すると、
これを自信を持って言えるようになれば合格です!
中堅介護士にオススメの目標の例は以下の通りです。
○○委員会の委員として、○○という取り組みを行い○○の実績をあげる
業務改善や職員のスキルアップなど介護事業所全体にかかわる内容です。
目標達成の難易度は高いですが、成功できれば自分自身の大きなレベルアップと高い評価が得られるでしょう。
上司をはじめとした多くの人と協力しなければいけませんので、計画をしっかりと立ててコミュニケーションを取りながら進めていきましょう。
○○の研修に参加して、ミーティングでフィードバックする
介護技術や医療的な知識の向上など自身のスキルアップにつながる目標です。
目標設定の段階でどんな技術や知識を身に付けたいのかを明確にしましょう。
研修に参加するだけだと効果の測定が難しいので、内容のフィードバックまでをセットにして考えた方が良いです。
いつ研修を受けて、いつどこでフィードバックするか計画を立てるところからスタートですね。
【経験7年~】ベテラン介護士の個人目標
経験何年からベテランと言うのか明確な定義はありませんが、ルーティン業務を安定して行うことができて、新入職員や実習生などの指導を任されるようになったり、リーダー的なポジションになってくればベテランと言ってよいでしょう。
ベテラン介護士は、
ことが求められます。
自分自身の業務をこなすことに加えて、他の職員や施設全体へ良い影響を与えられるようになりましょう。
ベテラン介護士にオススメの目標の例は以下の通りです。
〇〇を行うことで施設全体のコストカットを行う
例えば、尿量の測定を行ってパットの種類を適正化して無駄な使用を減らす。パットの当て方を指導して、モレを減らすことでコストを削減する。など、介護技術をからめて考えるとより施設全体にとってプラスになりますね。
日用品などの消耗品や電気代、水道代などの生活に関わることも考えてみると楽しいかもしれません。
いずれにしても明確に数字(金額)で結果が出るので、評価もしやすいですね。
自ら率先して行動することで〇〇を定着させる(介護技術を向上させる)
例えば、積極的に福祉用具を活用して移乗を行って腰痛予防をする。施設全体で定着させるために勉強会を行う。など、施設全体のケアの向上につながるような取り組みを考えて実行します。
経験を重ねていくと、もっとこうだったらいいのにな。と日頃思っていることが出てくるハズ。それを思い切って改善してみる機会にするのはいかがでしょうか。
入居者さんのQoLが上がる新しい行事を企画し、実行する
マンネリを感じてくるのも、ベテラン介護士の悩みとしてありますよね。
それを自ら打破できるように、楽しいことをやっちゃおうっていうノリで目標をたてます。自分も楽しんで、もちろん入居者さんにも楽しんでもらうような企画を考える。
施設単位で動くとなるとかなりハードルが上がっちゃうので、最初は小さく始めてそれを広げられたらイイですね。
悪い個人目標の具体例とダメな理由
良い目標の条件として以下の3つを上げました。
・頑張れば達成することができる
・自分の能力や経験に合っている
・達成度が評価がしやすい
この逆が悪い目標ということになります。
簡単すぎる目標やとうてい達成できない目標は論外ですが、特に注意したいのが「達成度が評価がしやすいかどうか」という点。
どう評価したらいいかわからないような目標は、どう努力したら目標が達成できるのかが不明確なハズです。
って目標はダメです
具体例を見ながら確認していきましょう。
ダメな目標例①ていねいな対応をする
介護の仕事では、ていねいに対応することはとても大切なことです。
でも、ていねいな対応って具体的にどんなことを指すのでしょうか。
声のかけ方なのか介護技術なのか、ご利用者様に対してなのかご家族に対してなのか、などいろいろ考えられます。
あいまいな目標なので評価をするのも難しいですね。
何をていねいにするのかを明確にして、目標をもっと具体化させる必要があるでしょう。
ダメな目標例②介護技術を向上させる
先ほどの目標より具体性がありますが、まだ抽象的です。
介護技術にもいろいろありますので、どんな技術を向上させるのかをはっきりさせましょう。
そして、どのような方法でその介護技術を向上させようとしているのかが重要です。
本を読む、動画を見る、研修に参加する、他の職員に教えてもらう、など様々な手段があります。
どのような方法を選ぶかで評価の方法も変わってくるでしょう。
さらにアドバイスするなら、アウトプットする場を設定できると最高です。
学んだことを最も効率的に身に付けるにはアウトプットが一番良い方法ですからね。
ミーティングなどが最適ですが、きちんとした場面でなくても良いと思います。
業務の隙間などで個人的に話したり実践して見せたりするのでも良いですね。
勉強した結果をアピールすることも大切ですよ。
(おまけ)人事考課の結果に納得できない時、拒否はできるのか
↓yahoo知恵袋の質問にYouTubeで答えています。
詳しくは動画をみてほしいのですが、結論だけ。
拒否は難しいけど、その上の考課者(上司の上司)に相談しましょう。
その訴えに正当性があれば、上司に指導が入るはずです。
まとめ
目標が達成できれば自己評価も書きやすくなります。
今の自分に最適な目標を設定して、目標を達成しましょう。
また、上司がどこを見てを評価しているのかを知ることも重要です。
「上司からの評価を上げよう!介護職の人事考課(査定)で見られるポイント」で、僕が実際に人事考課で評価をする時に見ている点を紹介しています。
ぜひ参考にしてくださいね。
コメント
仕事が出来る器用過ぎる方が居りますが辞めて欲しくなくてどうすれば宜しいでしょうか。
コメントありがとうございます!
難しいお悩みですね(-_-;)
辞めちゃいそうなんでしょうか??
人事考課的に言うなら上司がその職員さんをきちんと具体的に評価することですね。そのうえで報酬(給料)に反映できればベストです。
また、そのような仕事ができる方には将来を見据えたポジションを検討していくのはいかがでしょうか。
簡単に言えば昇進なのですが、将来はこういう役割を担ってほしいからこういう点を頑張ってほしいというような働く上での動機づけができれば良いですね。
ただし、プレーヤーとして素晴らしいからといって、上に立つポジションで上手くいくかは別問題ですのでそこは要注意です。
その方の将来の目標などを聞いてみるのも良いかもしれないですね。その思いをくみ取りながら、一緒に職場を盛り上げていけるような持っていきかたができればお互いにプラスになるのではないでしょうか。