「介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)」と「実務者研修」は、どちらも介護の仕事をするうえで重要な資格です。
違いを知って自分にあった方の資格取得を目指しましょう。
介護の仕事は、無資格でも採用してくれる職場が多いですが、資格を取ってから就職した方が長い目で見れば良いことが多いですよ。
参考 無資格はダメ?未経験者が介護士に転職する時に資格取得をオススメする3つの理由
未経験者は初任者研修!経験者は実務者研修がオススメ!
この介護資格のルート図が示す通り「介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士」の順番で上位の資格となっています。
そのため、初任者研修では介護の基礎を学び、実務者研修ではより深く実践的で専門的な知識や技術を学ぶ研修が行われます。
初任者研修と実務者研修の違いを分かりやすくするために表にしました。
初任者研修 | 実務者研修 | |
---|---|---|
受講資格 | 誰でもOK | 誰でもOK |
スクーリング(通学) | 16日間 | 7日間 |
学習期間 | 4ヶ月 | 6ヶ月 |
学習時間 | 130時間 | 450時間 |
料金 | 4~6万円 | 12~18万円 |
サービス提供責任者 | なれない | なれる |
介護福祉士の受験資格 | × | ○ |
それぞれの項目ごとにポイントを説明しながら、なぜ未経験者には初任者研修がオススメで経験者には実務者研修がオススメなのかをお話しします。
受講資格
初任者研修や実務者研修の資格を取るには、資格スクールなどで講座を受講する必要があります。
「初任者研修」「実務者研修」ともに受講資格はなく、お金と時間さえあれば誰でも資格取得のための講座を受講することができます。
また、それぞれの講座には修了試験がありますが、きちんと講座を受講していれば誰でも受かる内容ですのでご心配なく。
スクーリング(通学)と学習内容
初任者研修と実務者研修とで迷っている人が一番考えてほしいのが、スクーリングと学習内容です。
初任者研修も実務者研修もスクーリングは必須となっていて、初任者研修は約16日間、実務者研修は約7日間のスクーリングをすることになります。
ここで不思議なのは、上位の資格である実務者研修の方がスクーリング日数が少ないこと。
これは、実務者研修が主に経験者を対象としており、働きながらでも資格が取得しやすいように配慮されているからです。
初任者研修のスクーリングでは「実技」に多くの時間を使って、実際に体を動かしながら、より実践的な知識と介護技術を身に付けていきます。
これが大事なんですね。
実務者研修ではこの部分が自宅学習になってしまうため、未経験者や経験の浅い人、介護技術の基礎を学びたい人は初任者研修がオススメです。
学習期間、時間
学習期間の目安は、「初任者研修」が約4ヶ月間で、「実務者研修」が約6か月間です。
講座の受講スタイルは、完全通学制か通信+スクーリング(通学)制のいずれかですが、時間の都合がつけやすい「通信+スクーリング(通学)制」の講座がほとんどですね。
完全通学制は全てのカリキュラムをスクールで学び、 通信+通学制は講義科目を自宅で学習してレポート提出します。
「初任者研修」は、最短で1ヶ月間で資格が取得できる講座もありますね。
スクーリングが16日間あるので、週1回のコースで4ヶ月かかるのが一番多いです。
履修時間は130時間で、40時間が通信の家庭学習で90時間がスクーリングとなります。
「実務者研修」の履修時間は450時間です。
ただし、所有資格(初任者研修、介護職員基礎研修など)によって最大400時間の免除があります。
初任者研修の資格所有者は130時間が免除されますので、初任者研修で勉強した時間は全て免除されることになります。
つまり、初任者研修を取得してから実務者研修も取得する場合、時間的なロスは少ないです。
受講料金
ややこしいのが受講料金です。
ネット上の広告を見ると「初任者研修29,000円~」「実務者研修20,000円~」といった表記がありますが、残念ながらこの金額で受講できることはまずないです。
特に「実務者研修」は、注意が必要ですね。
「実務者研修」は、所有資格によって免除になる講義があり、受講料金が安くなることがあるんですね。
ですから、資格を持たない人が受講する場合にはその金額は適応されません。
受講料金の目安は「初任者研修が4~6万円」「実務者研修が12~18万円」です。
受講料金は、資格講座を主催しているスクールによって大きく差があります。
資格取得には通学も必要ですので、自分の家や職場から受講可能な講座がいくらで受講できるのか、無料の資料請求をして比較するのがおすすめです。
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サービス提供責任者
実務者研修の資格取得者は、サービス提供責任者としての仕事をすることができます。
初任者研修は、3年間の実務経験でサービス提供責任者になれますが、事業所の介護報酬が10%減算となってしまいます。
サービス提供責任者の仕事は、訪問介護事業所で訪問介護サービスのプランニング、ヘルパーへの業務の指示や指導・育成、介護サービス利用者側とのコミュニケーションを取ることなどです。
訪問介護事業所の介護ヘルパー40名に対して、1名以上のサービス提供責任者が在籍していることが法律で定められています。
ただし、訪問介護事業所のみでの役職なので、介護施設やデイサービスなどで働こうと考えている人には関係ないですね。
介護福祉士の受験資格
実務者研修の資格は、介護福祉士の受験資格となっています。
「初任者研修」と「実務者研修」の最大の違いはこれですね。
介護福祉士は、介護に関する資格の中で唯一の国家資格。
介護業界で長く仕事をしていこうと考えている人は、絶対に取った方が良い資格です。
しかし、介護福祉士は誰にでも受験資格があるわけではないんですね。
介護福祉士の試験を受験するには、2016年1月に行われた第28回介護福祉士国家試験までは「3年以上の実務経験」だけでよかったのですが、2017年以降に実施される試験では「3年以上の実務経験」に加えて「実務者研修の修了」が必須になっています。
これによって「実務者研修」の資格の価値が上がり、介護の資格のルート図も明確になりました。
まとめ
「初任者研修」や「実務者研修」を取得する際には、それぞれにメリットとデメリットがあります。
「初任者研修」のメリットは、料金が安いこと、短期間で資格が取得できること。
そして、スクーリングで実践的な介護技術が勉強できることです。
デメリットは、介護福祉士の受験資格にならないことですね。
「実務者研修」のメリットは、スクーリングが少なく予定の調整がしやすいこと。
そして、なんといっても介護福祉士の受験資格になることです。
デメリットは、履修時間が長く自宅学習が大変なこと。
初任者研修と比べると受講料が割高なことですね。
それから、未経験者にとっては実践的な介護技術を学ぶことができないことがデメリットになります。
どちらの資格を取得しても資格手当は同じところが多いと思います。
ちなみに、僕が勤務している施設では一緒ですね。
介護福祉士になると少し上がります。
未経験者や経験が浅い人は初任者研修がオススメ
初任者研修では、ロールプレイ方式で介護技術の演習が行なわれます。
体位変換や食事介助、排せつ介助など実際の仕事で必要な介護技術の基礎を学ぶことができるので、未経験者には初任者研修がオススメです。
また、介護福祉士を目指すために実務者研修の資格が必要になった場合でも、初任者研修で学んだ分の講習時間は免除になるし実務者研修の受講料も割引になりますからね。
未経験者で「目標は介護福祉士!介護福祉士の資格までとにかく安く取りたい」という人は、いきなり実務者研修を目指していいかもしれませんが、それ以外は初任者研修を取得することをオススメします。
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