僕が勤務している特養では、半年ごとに人事考課(査定)を行い、その結果が賞与に反映されます。
ユニットリーダーをしている僕は、ユニット職員の評価をすることになっており、できるだけ平等に評価したいと頭を悩ませています。
法人によって評価のポイントは違いますが、基本的な評価のポイントは同じ部分も多いはず。
僕がどんなことを評価しているのかを知ることで、ボーナスアップにつながるヒントになるかもしれません。
ということで、介護職の人事考課をする時に僕が見ているポイントをご紹介していきます。
会社の利益につながる行動が最も評価されるべき
具体的な項目を紹介する前に、理解しておきたいことがあります。
それは「会社の利益につながる行動が最も評価されるべき」ということです。
介護の仕事は、福祉的な役割を持っています。
しかし、ボランティアではありません。
当然ですが、利益を上げないと職員に給料を払えません。
一生懸命に仕事をしても、会社の利益が上がらないと給料は上がらないです。
どういう仕事をすれば会社の利益につながるのか、考えたことはありますか?
QoL(生活の質)の向上は利益につながるのか?
例として、QoL(quality of life:生活の質)の向上について考えてみましょう。
結論から先に書いてしまいますが、
『QoLの向上は直接的には利益にならないが、間接的に利益になることがある』
ということです。
介護施設で働く介護士は、直接的に利益を左右する仕事は少ないです。
介護施設が単純に利益だけを考えるなら、
『ベッドが全て埋まっている状態(収入の最大化)を、出来るだけ少ない人員でまわす(支出の最小化)』
ことが一番ですから。
加算などもありますので、現実的にはここまで単純ではありませんけどね。
ご利用者さんのQoLが向上しても収入は増えません。
しかし、まわりまわって利益になることはあります。
例えば、
- 介護職員のモチベーション(やる気)が向上する
- ご利用者さんやご家族が良いうわさを流してくれる
ということが考えられます。
『1.介護職員のモチベーションが向上する』
ご利用者さんのQoLが上がれば、単純に介護職員は嬉しいし、やりがいにもつながることが多いです。
介護職員のモチベーションが上がれば、離職率の低下につながります。
やめる人が減れば、新たに人材を募集する費用や新人職員を育成するコストが削減できます。
僕は特養のユニットリーダーをやらせていただいており、新人の研修を担当することが多いのですが、
新人の研修がなければ、あの仕事が出来て超過勤務(残業)しなくてすむのに。
なんて場面も結構あります。
離職率の高い介護業界だからこそ、育成コストについて真剣に考えたいところです。
『2.ご利用者さんやご家族が良いうわさを流してくれる』
特養を例にあげます。
QoLの向上に限らず良いケアをしていれば、それを見たり感じたご家族が良いうわさを流してくれることがあります。
いわゆる口コミですね。
良い口コミが広がれば、入居申し込みも増えて空きベッドがなくなり、稼働率の向上につながります。
ショートステイやデイサービスでも同様だと思います。
そのサービスを利用したいと思っている人が、どれだけいるのかって大事なことなんですよね。
介護現場での人事考課は、数字を基準に評価しにくいから難しい
以上のことを踏まえると、介護現場で働く介護士さんを数字で評価しづらいので人事考課が難しいことがわかると思います。
簡単に言うと差がつけにくいんですよね。
僕は「頑張っている人には、出来る限り給料をあげたい(差をつけてあげたい)」と考えています。
査定される職員が査定の基準をきちんと理解できているなら、給料に差をつけてあげた方がモチベーションアップにつながります。
頑張っているのに報われない(給料が少ない)という状況は良くないですからね。
長くなってしまいましたが、ここまでが前置きです。
具体的にどんな点を評価しているのか
「会社の利益につながる行動が最も評価される」ということを頭のかたすみに入れつつ、具体例をご紹介します。
僕は、以下の5つの観点から評価をしています。
- 成長したか(個人目標の達成度)
- キャリアに応じた能力を発揮しているか
- 人為的な事故を起こさなかったか
- 体調管理が出来ているか
- 時間を守っているか
成長したか(個人目標の達成度)
うちの施設では、経験の浅い職員が多いので「成長したか(個人目標の達成度)」の重要度が高いです。
何を頑張ったのか。という部分ですね。
年度の初めに個人目標を立ててもらっているので、達成度を確認します。
ここで問題となってくるのが、目標の立て方ですね。
目標は達成度が分かりやすいものが良いです。
例えば、「月に10件ヒヤリハットをあげる」「1日に3回はケース記録を残す」などは良いですね。
逆に「思いやりをもってケアをする」「事故を起こさないようにする」などは評価しにくいです。
成長できる人は、目標設定も上手です。
人によっては目標設定の段階でアドバイスをしていますが、実はその時点から人事考課は始まっているんですよね。
キャリアに応じた能力を発揮しているか
介護現場では、様々な経験をもった人が働いています。
それを同じように評価したのでは平等ではありません。
1年目の新人と10年目のベテランでは、果たすべき役割が違いますよね。
それを理解して仕事をしているかが大切です。
この人はこれぐらいの仕事をしてほしいというのがありますので、「キャリアに応じた能力を発揮しているか」を僕の期待値との比較で評価しています。
人為的な事故を起こさなかったか
介護現場における事故は、ご利用者さんに大きな不利益となります。
もちろん施設にとっても同様です。
今は訴訟リスクも高まっていて怖いですよね。
ただ、事故を100%防ぐことはできません。
どの介護士がそこにいても事故が起こってしまったことが予想される場面はあります。
ですので、その事故にかかわった職員に落ち度はなかったのかを評価します。
「決められていたケアの方法をやっていたか。」「前後の対応はどうだったのか。」などですね。
介護施設の場合、チームで介護をしていますから、ミスが起これば連帯責任なんですよね。
さらに言えば、ユニットリーダーである僕の責任は大きいです。
「きちんと注意喚起できていたか」「ヒヤリハットはあげられていたか」「ヒヤリハットに対して対策を行っていたか」ってことです。
まあ、中には明らかに介護士の不注意による事故だなってこともあります。
そんな時は評価を下げざるを得ませんね。
体調管理が出来ているか
介護の仕事は、体力的にも精神的にもハードです。
特に夜勤もあるシフトで勤務している介護士さんは、本当に体調管理が大変ですよね。
ギリギリの人員でシフトを組んでいることも多く、病気などの急な欠勤は他の職員に大きな負担となります。
また、シフトを崩さず安定して介護サービスを提供することは、事故防止にもつながります。
心身ともに健康な状態でシフト通りに出勤することは、介護士としての責任だと言えますね。
時間を守っているか
僕は「サービス残業をしていないか。」という点を重視しています。
というのもありますが、マジメな話、終業時間を守らないと生産性が上がっていかないんですよね。
時々「自分が望んでやってるんだから良いじゃないか。」という人もいますがサービス残業はダメです。
休憩時間に仕事をするのも同じでダメです。
決められた時間内に決められた仕事が出来ることが大事なんですよね。
時間が足りないことを自分の時間を使って解決していたのでは、いつまでたっても成長できません。
サービス残業は「悪」です。
まとめ:客観的に自分の能力を分析して人事考課の評価を上げるポイントをつかもう!
人事考課でどのような点が評価されているのかを考えると、会社から必要とされる人材の理想像が見えてきます。
個人的な想いも含まれていますので、参考程度に考えていただけたら幸いです。
自分の成果をしっかりとアピールしてボーナスたくさんもらってください。
ちなみに、手っ取り早く確実に給料を上げたければ給料の高い会社で働くことが近道です。
働いている施設(会社・法人)にお金がなければ、いくら能力をアピールした所でどうしようもありませんからね。
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