足のむくみを解消させるために介護士ができること『むくみ体質をあきらめない』を読んだ

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僕が仕事で介護をしているご利用者さんの中には、足がむくんで丸太のようになっている方が何人かいらっしゃいます。

その多くは心臓や腎臓などの病気が主な原因であるため、むくみを完全に解消させることは難しいのですが、少しでも軽減できないかと思い『むくみ体質をあきらめない―医師が教える予防・解消の知恵』という本を読んで勉強しました。


結論から書いてしまうと、介護の現場では下肢の拳上くらいしか出来ることがありません。
しかし、むくみのメカニズムを理解した上で解消方法を実践することが大切ですよね。
ケアプラン作成時やモニタリングでの説得力にもつながります。

座りっぱなしや立ちっぱなしの仕事などで足のむくみに悩む一般の人にも役に立つ内容ですので、よろしければ参考にして下さい。

【本の紹介】『むくみ体質をあきらめない―医師が教える予防・解消の知恵』

まずは読んだ本の紹介から。

足がパンパン,だるい…なんとかしたいけど,すぐ足がむくんでしまう。
それは”むくみ体質”かもしれません。
でも,あきらめないで! むくみの仕組みからむくみ体質,予防法,解消法まで専門医が医学に基づいて解説,この1冊でむくみが丸ごとわかります。
誰でもできる基本法に加えライフスタイル別の対処法も教えます。”知れば”怖くない,必ずよくなります。
“むくみ”は病気のサインであるときもあります。危険なむくみの見分け方もやさしく紹介しました。
引用 amazon

4人の医師が書いた本ですが、難しい専門用語は少なくて読みやすい本でしたね。
むくんでしまう原因を知り、原因に合わせた解消法を学ぶことができました。

【本の目次】

  1. 「よく知る」が解消への近道
  2. 病気?これだけは気をつけたい「むくみ」
  3. みんな悩んでいる-足のむくみの実態調査
  4. むくみには「体質」がある-あなたのタイプは
  5. むくみやすい生活とサヨウナラ-ライフスタイル別の予防法
  6. 基本のむくみ予防と解消法
  7. シワとむくみの意外な関係
  8. むくみを起こす病気を知ろう
  9. 思い込みとホントの話

なぜむくむのか、むくみの原因を知る

むくみを解消するには、むくみの原因を知ることが大切です。
まずはむくみとは何か、を理解してその原因を探っていきましょう。

むくみ(浮腫)とは

むくみとは、顔や手足などの末端が体内の水分により痛みを伴わない形で腫れる症候。
浮腫(ふしゅ)ともいう。
出典 wikipedia「浮腫」

ということで、皮下の過剰な水分がむくみの正体です。

ちょっと専門的な話になりますが、人間が栄養などを全身に送り届けるメカニズムは以下のようになっています。

心臓から動脈を通って血液が流れ、毛細血管に到着

毛細血管の隙間から染み出て酸素や栄養分を細胞に届ける

炭酸ガスや老廃物を含んだ水分が毛細血管の静脈側やリンパ管に再吸収される

心臓に戻る

むくみのメカニズム

この流れの中で、通常は「毛細血管から染み出る水分量と再び吸収される水分量は同じ量」です。
何らかの原因で水分が染み出すぎたり、吸収量が足りなかったりと、そのバランスがどこかで崩れてしまった結果むくみが起こります。

むくみの原因

毛細血管での水分量の調整がうまくいかなかった場合にむくみが起こる。
つまり、むくみの原因は「毛細血管から染み出る水分が多すぎる」もしくは「毛細血管への水分の再吸収がうまくいかない」と2つに分けられます。

【染み出る水分が多すぎてしまう原因】
・肝硬変やネフローゼなどの肝臓や腎臓の病気
・血液中のたんぱく質が少なくなる低たんぱく血症
・虫刺されやアレルギー

【水分の再吸収がうまくいかない原因】
・心不全や下肢静脈瘤があって静脈の流れが悪くなる
・長時間の立ち仕事やすわり仕事で静脈の流れが悪くなる

日常生活の運動や食事でむくみを改善するには、血流(静脈の流れ)を良くすることを意識することが大切ですね。
過剰な水分がむくみの正体なので、長時間立っていたり座っていたり同じ姿勢でいると足が最もむくみやすいです。
水分が重力の影響を受けて下に下がってくるからですね。
一方で、寝たきりの方などは、背中やお尻の尾てい骨、わき腹の背面などにむくみが起きやすく、常に足だけとは限りません。

また、寝起きなどで顔がむくむことがありますよね。
それは皮下組織が薄いことが理由です。

むくみやすい体質がある

一般的にむくみは、男性よりも女性、若者よりも高齢者に多いです。
その理由は以下の通りですね。

【女性にむくみが起こりやすい理由】
・筋肉が少ない
・運動する習慣や機会が少ない
・冷え性による血行不良が起こりやすい
・女性ホルモンの影響で血管が拡張しやすい
・ヒールの高い靴や身体を締め付ける衣類を着用することが多い

【高齢者にむくみが起こりやすい理由】
・歩く習慣が少なくなり足の筋肉が弱くなる
・加齢とともに皮膚のハリがなくなってくる
・心臓や腎臓の病気が増えてくる

女性、高齢者いずれも筋肉の減少や運動量の低下によって血流が不足することが、むくみの大きな原因となりやすいです。

【その他の原因】
・肥満(静脈血を心臓に引き上げる筋ポンプ作用が働きにくい)
・低血圧(肥満と同じ)

むくみ予防と解消法

むくみの原因がわかったところで予防と解消法を考えていきましょう。
状況は人それぞれですから、ご自身に合った方法を実行してみてくださいね。

足の拳上

誰にでも出来て、むくみ解消の効果も高いのが足の拳上です。

足は立っている時も座っている時も心臓より下にあり、うっ血が起こりやすいです。
心臓よりも足を高く上げた方が効果的なので、できれば横になってクッションなどと使って足を上げるのが良いですね。
介護現場では、この臥床時の下肢拳上が一番現実的だと思います。
むくみ改善のために横になって下肢を拳上する

さらに効果を上げるには、この横になった状態で空中で自転車をこぐ要領で足をグルグルと回す動きをすることですね。
ただ単に足を拳上するよりも、むくみを解消する効果は高いです。

お仕事の休憩中などで横になるのが難しい時は、イスに座った状態でもう1つのイスに足を乗せるだけでも効果があります。
イスを使って下肢を拳上する

ウォーキング

足を拳上するよりも効果は低いですが、ウォーキングも良いです。
多少ですが足の筋肉もつきますので、筋ポンプ作用を強化することにもつながりむくみ予防としても効果もありますね。

介護施設のご利用者さんは歩行が難しく車いすで生活している方も多いので、歩行も難しい方はその場で立ったり座ったりを数回行う、車いすで足こぎをするだけでも違ってくると思います。
出来る範囲で身体を動かしていきましょう。

また、ウォーキングでなくても運動は血流を良くしますので、軽い運動でも良いのでこまめに行っていきたいですね。

足(脚)のむくみを解消するマッサージ

リンパマッサージもむくみ解消に効果がありますね。

ただ、足の拳上やウォーキングに比べると効果は限定的かもしれません。
というのも、体液循環におけるリンパ系の役割は意外と少なくて、体液量に関していえば静脈に90%、リンパ系に10%還流する仕組みになっているからです。

むくみに効く食材、サプリメント、お茶

むくみ解消に効果のある栄養素として有名なのがカリウムです。
カリウムは、細胞の浸透圧のバランスを取って体内の水分量を調整する役割を担っています。

カリウムが豊富に含まれた食材として以下のものが上げられます。

・アボカド
・納豆
・ほうれん草
・里いも

などなど。

出来れば、食事から栄養を取りたいですがなかなか難しいですよね。
そんな時はむくみ解消のサプリメントもあります。

また、ルイボスティーもカリウムが豊富に含まれ、むくみ解消に効果がある飲み物ですね。

むくみ予防グッズ

むくみ予防グッズとしてあげられるのは弾性ストッキングですね。
弾性ストッキングは、圧力のあるストッキングで足を圧迫してむくみを予防します。
足を圧迫することで筋ポンプ作用を強化したり、毛細血管からの水分の染み出しを少なくしたりする効果があります。

僕が勤務する施設で生活しているご利用者さんでも、弾性ストッキングを使っている方が何人かいましたね。

まとめ

むくみ解消には日ごろの生活動作が大切だと感じました。
高齢者相手だと出来ることが限られてしまいがちですが、少しでも日常の動作の中でむくみを改善できるような動きを取り入れていきたいと思います。

僕は男性なので、寝起きに「あー、今日は顔がむくんでるなー」って日があるくらいでむくみで真剣に悩んだことはなかったです。
今回の本を読んだことをきっかけに色々調べてみると、むくみ解消に関する商品がたくさんあってビックリしました。
むくみで悩んでいらっしゃる方は多いんですねー。

この記事が何かのヒントになれば嬉しいです。




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