介護士として働ける職場は、たくさんあるので迷いますよね。
転職活動をスムーズに進めるためには、転職先の情報を集めながら自分がゆずれないポイントを決めていく必要があります。
転職先を選ぶ基準は人それぞれなので、自分なりの基準をハッキリさせていきましょう。
この転職で何を手に入れたいのか、自分と向き合うのが大事です
自分の希望を6つのポイントで整理してみよう
僕が未経験から介護士に転職した時は、資格を取得した時の実習での経験からユニット型の特養で働きたいという希望がありました。
それから雇用形態は正社員。
この2つがゆずれないポイントでした。
あとは、いま住んでいる家から通いやすい所なら良いかなって感じだったので、割とすんなり候補がしぼれましたね。
いま思えば、もっと選択肢を広げて情報収集をして、給料や年間休日数も考えれば良かったですが、幸いにも職場の雰囲気が良かったのでそこまで後悔はしていません。
次に転職をしたのが、特養で働きだしてから7年目。ケアマネの資格を取った時でした。
夜勤がしんどかったのでケアマネとして日勤帯で働けるところを探して、特養の施設ケアマネになりました。
その後いろいろとあって、元職場の上司につないでもらって、出戻りで特養で働いているので転職は3回経験しています。
その時々で優先順位が変わると思うので、何を大切にしたいのかをよく考えることが大事ですね。
働きたい職場の条件がいろいろとある中で、転職する時に考えたいポイントを「職種」「給料」「休日数」「通勤時間」「将来性」「人間関係」の6つにまとめました。
それぞれの項目で注意点やオススメの方法をお伝えしますので、みなさんも自分なりのポイントを見つけて転職を成功させましょう。
どれも大事!優先順位をつけるのが難しい💦
情報をまとめるために転職成功シートを活用しよう
情報をまとめて比較しやすいように「転職成功シート」を用意しました。
よろしければご活用ください。
(スプレッドシート版とエクセル版があります)
自分なりの価値観を持つことが大切ですね
【職種】仕事内容と待遇とのバランスで考える
介護士が活躍できる現場には、特養や有料老人ホームなどの施設、デイサービス、訪問介護など様々な種類があります。
介護士に求められる役割もサービスの種類によって微妙に違います。将来どうなりたいのかも考えながら、自分に合った介護サービスの種類を選びましょう。
大分類 | サービス種類 | 平均年収 | 特徴 |
---|---|---|---|
訪問 | 訪問介護 (ホームヘルパー) | 378万円 | ご自宅でケアをするので利用者さんに寄り添った対応がしやすい。無資格者はひとりで身体介護ができない。 |
通所 | 通所介護 (デイサービス) | 330万円 | アクティブなレクリエーションをすることができる。送迎業務がある。夜勤がない。 |
通所 | 通所リハビリテーション (デイケア) | 365万円 | デイサービスにくらべて身体介助の負担は少ない傾向。リハビリの補助もすることがあり医療的な知識が得られる。送迎業務がある。夜勤がない。 |
施設 | 特別養護老人ホーム | 417万円 | 入居できる要件が要介護3以上なので身体介護が多い。基本的な介護技術が身に付きやすい。看取りを行っている施設では利用者さんの最期まで関わることができる。 |
施設 | 介護老人保健施設 | 406万円 | 特養よりは身体的な負担が少ない傾向。医療的な知識が得られる。在宅復帰を目指す施設のため生活を支えるというよりは医療よりな考え方が多い。 |
施設 | 介護医療院 | 384万円 | 介護施設の中では、長期療養が必要で最も医療依存度の高い利用者さんが多い。医療的な知識が得られる。 |
施設 | 特定施設入居者生活介護 (有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅) | 376万円 | 医療サービス、レクリエーション、食事の質、などなど、運営する法人の方針によって施設の雰囲気が大きく違う。いわゆる高級なところでは、ハイレベルな接遇が求められる。 |
施設 | 小規模多機能型居宅介護 | 345万円 | 通いを中心に、訪問、宿泊を組み合わせるサービス。慣れるまでが大変だが、様々な場面に対応する力がつく。 |
施設 | 認知症対応型共同生活介護 (グループホーム) | 349万円 | 自立度が高い利用者さんが多く、身体的な負担が少ない傾向。認知症のある方へのケアが身につく。 |
年収の出典:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果
【給料】最低限ほしい金額と目標の金額を考える
給料の相場はいくらなのか情報収集しよう
やっぱり一番気になるのはお給料ですよね。
給料は高ければ高いほど良いのは当然ですが、その分だけ身体への負担が大きかったり、高い介護技術や接遇を求められたりすることが多いです。
情報収集をして給料の相場がつかめてきたら、最低限ほしい金額を決めていきましょう。
先ほどご紹介した表を年収順に並べ替えました。
訪問や通所よりも夜勤がある施設のほうが、年収が高い傾向にあります。
順位 | 大分類 | サービス種類 | 平均年収 |
---|---|---|---|
1 | 施設 | 特別養護老人ホーム | 417万円 |
2 | 施設 | 介護老人保健施設 | 406万円 |
3 | 施設 | 介護医療院 | 384万円 |
4 | 訪問 | 訪問介護(ホームヘルパー) | 378万円 |
5 | 施設 | 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅) | 376万円 |
6 | 通所 | 通所リハビリテーション(デイケア) | 365万円 |
7 | 施設 | 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 349万円 |
8 | 複合 | 小規模多機能型居宅介護 | 345万円 |
9 | 通所 | 通所介護(デイサービス) | 330万円 |
また、この表は全国の平均値になります。
都道府県によって最低賃金に差があるように、地域によって平均年収にも差があります。あくまで参考程度にお考え下さい。
・令和6年度地域別最低賃金改定状況(厚生労働省)
同じ地域の同じサービス種類でも給料が違う
うちの施設の初任給を検討する際に、近隣の施設の給与を最近調べました。
介護福祉士養成校に来ている求人票を、うちの施設職員のツテを使って入手して比較したので、かなりリアルな数字が得られたと思います。
結果は、同じ特養で比較しても施設によって基本給、夜勤や所有資格による手当、処遇改善加算の配分方法など大きく違いがありました。なんと給料が一番高い施設と一番低い施設では、年収ベースで100万円近く差があったので驚きです。
特養だからといってどこも給料が高いというわけではないし、デイサービスだからといってどこも給料が安いわけではありません。あくまで平均的にはそういった傾向があると考えて、個別に情報収集することが大事です。
月々の手取りではなく年収で考えよう
求人広告などでは基本給に加えて、各種手当も含めた金額が書かれていることが多いので注意しましょう。
月給と称して、基本給に資格手当や数回分の夜勤手当が含まれて表示されていることが多いです。
賞与(ボーナス)は、前年の支給実績を確認しましょう。
年間で何か月分もらえるのかってことですね。
ボーナスは、職場によって1~2ヶ月違うことがザラにありますのでそれだけで年収が数十万円変わってきます。
これは相当大きな違いになります。
基本給と賞与と各種手当を合わせて年間で総額いくらもらえるのか、年収単位で考えるのがベストです。
めんどくさがらずに計算して比較しましょう。
処遇改善手当はどのように支給されてるか確認しよう
最近ニュースで話題になっている介護士の賃上げは、処遇改善加算によって行われています。
処遇改善手当の支給方法は、施設にゆだねられている部分が大きいので、どのように支給されているのか確認しておきましょう。
処遇改善として考えるなら、できるだけ月給で支払うのが妥当です。
参考までに、2024年度うちの特養の介護士さんには処遇改善手当として月額31,000円支給しています。残りのは賞与で支給です。
昇給額を確認して将来性を考えよう
長く働いていくには昇給額も大事。
処遇改善手当と合わせて、昇給額も確認必須です。前年度の実績をチェックしたいですね。
生涯賃金を考えると派遣はオススメできない
短期的にいろんな施設を経験したい、次の職場が決まるまでのつなぎ、などの理由であれば構いませんが、時給が良いからといって派遣で働くのは、あまりお勧めできません。
考えられるデメリットは以下のとおりです。
- 賞与(ボーナス)がない
- 処遇改善手当などの手当がない
- 委員会や研修など自己研鑽の場がない(少ない)
- 一定期間で違う事業所に移る必要がある
- 常に契約終了のリスクがある→次の職場が決まらない可能性がある
長く働けるところを探した方がトータルで見てプラスになるのではと思います。
うちの職場でも数名の派遣職員さんがいますが、いつ契約終了できるかを常に考えています。手数料として派遣会社さんに数%取られてしまうので、それだったらすべて職員に支給したいですからね。
【休日数】最低限ほしい年間の休日数を考える
年間休日数の相場は何日なのか情報収集しよう
年間の休日数も大切ですよね。
年収と同じように、地域やサービスの種類が一緒でも職場によって違いがあります。
複数の求人情報をチェックして、だいたいどのくらいの休日数が平均的なのかをつかみましょう。
有給の取得率を確認しよう
それから有給休暇ですね。
有給は取得率を必ず確認したいです。
付与される日数は、法定通りの職場が多いはず。
初年度年間有給休暇10日と書かれていても実際にはほとんど取得できていないなんてこともありますからね。
うちの施設では有給取得率が7割程度なので、悪くはないのかなーと思います。
連休は取れるのか確認しよう
介護の仕事では、シフトで勤務することがほとんど。
そのため人員が不足している職場では、連休を取ることが難しい場合があります。
介護の仕事は心身ともに負担が大きいので、長期のお休みで回復させるのも大事だと思います。
うちの施設では、1年に1回、公休と有給などを組み合わせて最長で10日間のリフレッシュ休暇をとれる制度があります。もちろんそんな連続で休まなくってもって職員さんは、分けて取ることも可能です。
【通勤時間】交通手段と最適な通勤時間は○分かを考える
通勤時間は仕事?プライベート?
通勤時間も重要な要素です。
僕は通勤時間も仕事をしている時間だと考えているので、通勤時間はかなり重要視しました。
逆に、ある程度は遠い方がリフレッシュできるって人もいるので、考え方は人それぞれだと思います。
車で通勤したい人は、車通勤が可能かも確認したいですね。
職場によっては駐車場がなかったり、あっても有料だったりすることがあるので合わせて確認しましょう。
職場が近すぎるとデメリットもある
職場が近いのは大きなメリットですが、近すぎるのには注意が必要です。
介護サービスの場合は、近隣の住民が利用者さんになる場合がとても多いです。
そのため、仕事で関わる利用者さんが知り合いの家族だった、ということになりかねません。
余計な気を使わなきゃいけなくなる可能性があるので、そのあたりを気にする人は自宅から近すぎる職場は避けた方が無難です。
【将来性】法人の将来性を見極める
法人の規模と沿革を確認しよう
基本的には施設や拠点をたくさん持っている大きな法人ほど収益は安定します。
その結果、そこで働く職員の待遇も良いことが多いです。
法人の規模を確認する方法は、その法人名で検索してホームページにアクセスしましょう。
「法人概要」などの項目で運営している事業の一覧が確認できます。
また、いまの時代でホームページがないところはヤバいので、そんなところは選択肢から除外でかまいません。
次に、沿革があれば合わせてチェックしましょう。
どのくらい歴史があるのか、何に力を入れてきたのか、事業を拡大できているのかどうか、なども判断の参考になります。
生産性向上への取り組みは進んでいるか確認しよう
介護業界の最近のトレンドで「生産性向上」というキーワードがあります。
将来さらに介護人材の不足が見込まれる中で、少しでも介護職員の負担を軽減できるように業務改善を行っていきましょうっていう取り組みです。
見守りセンサーなどのICT機器の導入や介護助手さんの採用などが具体例としてあげられます。
これをやれていないところは、時代遅れの事業所になりかねません。
時代遅れでは長く生き残っていくことは難しいので、そのような事業所は避けた方が無難でしょう。
自分の将来像と法人の方向性が合うのか考えよう
例えば、介護士として経験を積んで、ゆくゆくはケアマネになりたいと考えているなら、居宅介護支援事業所も運営しているところが良いかもしれません。自分の生まれ育った地域に貢献したいのであれば、その地域に密着した法人が良いでしょう。
もし「将来こうなりたい」という思いがあるのならそれが叶えられる事業所を探しましょう。
【人間関係】職場環境を見極める
見学で雰囲気を感じ取ろう
見学は必須です。
転職先の候補がしぼれてきたら見学をしましょう。
僕も今の職場は、見学をして雰囲気を確認して検討してから面接を受けました。
介護職員の離職理由で多いのが、人間関係が良くないこと。
介護の仕事はチームで連携して行いますので、人間関係が大切になってきます。
僕も人間関係は本当に大事だと思いますね。
職場の人間関係などは実際に仕事をしてみないとわからないですが、見学をすれば何か感じることがあるはず。
具体的な何かをチェックするというよりも、全体な雰囲気から感じ取ろうとするのが良いでしょう。
見学や面接のときに「夜勤の回数」と「残業時間」を聞こう
きちんとシフトが組めているのか、を確認するのに手っ取り早いのが「夜勤の回数」と「残業時間」を聞くことです。常勤の職員が少ないと夜勤の回数が多くなりがちですね。
夜勤専従の職員がいることもあるので一概にはいえませんが、夜勤回数が6回以上だと多いと個人的には感じます。4~5回くらいが正常ではないでしょうか。
残業時間も同様で、1人で早番と遅番を続けてやるような通し勤務があると残業時間は一気に増えるので、残業時間も要チェックです。
介護サービス情報公表システムで離職率をチェックしよう
介護サービス情報公表制度は、介護サービスを利用する人が事業所の選択をしやすいように、全国の「介護サービス事業所」の情報を公表するしくみです。
このサイトを見れば、介護サービス事業所の介護職員の離職者数が調べられます。
働きやすさを確認するには、離職率が低い方が良いので転職先を比較する時に参考にしましょう。
【まとめ】すべての条件を満たすのは難しい…。優先順位をつけよう
介護の仕事はどこも人手不足なので、職場を選ぶ側が優位に進められる部分も多いと僕は感じています。
介護の仕事の数もこれからますます増えていきますので、ポイントを絞った情報収集が大切です。
そして、集めた情報を整理して、自分なりの優先順位をつけて転職活動をすすめていきましょう。
みなさんが良い職場に出会えることを願っています
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