
介護施設(特養、ショート、デイ、居宅、包括)の課長として、人事や採用に携わるようになって数年。
たくさんの人を面接してきました。
好印象な人もいれば、履歴書を見た瞬間に「不採用かも…」ってなる人も。
採用の基準は事業所によって違うので、ひとつの参考例にはなりますが、面接を受ける際にご活用ください。
こんなところを見てます。面接対策のポイント

【時間】到着時間は約束の5分前。早すぎるのもダメ
ベストは5分前に到着ですね。10分前でもまあいいでしょう。
遅刻はもってのほかですが、電話で連絡を入れれば問題ないです。余裕をもって来いよ、とは思います。
たまにいるのが、早すぎる人。
これは良くないですね。自分勝手な人、計画性のない人だなあと思います。
こちらも約束の時間でスケジュール組んでますし、結果的には約束の時間まで待ってもらうのですが、印象は悪いです。
【服装】スーツが無難
フォーマルな服装が無難です。なんだかんだ第一印象は大事なので、ちゃんとしてる人なんだなと感じられることが多いです。
私服だからといって不採用にはなりませんが、スーツの人と私服の人でそれ以外が全く同じならスーツの人を採用しますね。
採用の面接ってそういったことの積み重ねなので、やれることはやったほうがいいです。
【所作】基本的なことをしっかりやろう
どんな言葉よりも本人の性格を見極めやすいのが、ひとつひとつの動作です。
いわゆるマナーといわれる部分ですね。
「面接 マナー」で検索して出てきた記事に書いてあるようなことはちゃんとできてほしい。
きちんとしたあいさつができないとか、こちらが促す前に席に座っちゃうとか、良くないですね。
一般常識を理解して実践できるかは、よく見ています。
【経験】短期間での転職はマイナス。未経験は年齢による
とにかく職員には長く続けてほしいと思っているので、職務経歴で短期間の転職がある場合は、理由がどうであれ印象悪いです。いちおう理由は聞きますけど、参考程度にですね。
介護の経験はもちろん歓迎ですが、職場によって業務内容が違ったりするので、そこはよく確認します。
未経験は、実はそんなにマイナスにはならないんだけど、50代以上だとちょっと考えちゃいます。やっぱり新しいことを覚える能力が低下しがちなのと、体力や運動能力も若い方がイイですからね。ただ、60代でもバリバリやってる職員さんはいるので、ケースバイケースでしょう。
未経験のほうが自分の施設でのやり方をイチから教えられるので、メリットになります。
【履歴書】PCで作成するのがオススメ
履歴書は、手書き、PCどちらでも良いです。
字が下手だと減点。PC苦手は減点。
だから、特別な理由がなければPCで作りましょう。読みやすいし。
PCの基本操作ができないのは困るし。
【質問回答】話のスジが通って入れば答えは何でも良い
こちらの質問に対して、これが正解ってのは実はなかったりします。
いろいろな質問をしていく中で、その人の性格とか人となりを見極めています。
だから、答えに詰まってしまっても問題ないし、本音で答えてほしいですね。
どんな答えか、よりも答える間とか言い方を気にしてます。
イイ人なのかどうか。
っていうか悪い人じゃないか。って方が正しかもしれません。
人手不足で採用するのを基本としているので、実際に採用した時にマイナスにならないかを見極めています。
例えば、冒頭で「簡単に自己紹介をお願いします。」って質問をよくするんですが、かなり個性が出ます。
ざっくりした質問なので、どう答えるかはその人の自由なんですが、「簡単に」のとらえ方とか、話のまとめ方、職務経歴をどこからどこまで話すのか、判断材料がたくさん見つかります。
【逆質問】何を聞いてもいい。お互いにミスマッチをなくすのが大事
一番困るのが、入職した後での「聞いてなかった。」
これが一番退職につながるので、不安はできる限り解消してほしいですね。
誠実にやっているつもりなので、答えられない質問はあまりないと思っています。
イイところはもちろんアピールしますし、悪いところも理解して入職してほしい。結局やめてしまうなら最初っから採用しないです。
気になるだろうところは、全部説明しているつもりなんだけど、どうしても抜けちゃうことはあるし、人によって気になるポイントは違いますからね。
何でも聞いて、不安をゼロにしてほしいです。
良い施設を見極めるオススメの逆質問の例文

※注意 質問する方も理解していないと印象が悪くなる
どんな質問をしても問題ないです。
ただ、この後に出てくる処遇改善や生産性向上などは質問する側にもある程度の知識がないと会話がかみ合わないかもしれませんのでご注意を。
自分が理解できている範囲で質問するようにしましょう。知ったかぶりはダメです。
給料はだいたいどれくらいになりますか
給料はビビらず聞きましょう。
きちんと確認せずにあとで問題になりやすいのもこの給料の部分です。
基本給はもちろん、各種手当やボーナスも。
年収で他の事業所と比較できないと困りますよね。
処遇改善の加算はどのように配分してますか
事業所の方針がわかりやすいのが処遇改善加算の配分方法だと思います。
給料のところで説明があればこの質問はしなくて大丈夫です。
処遇改善は配分ルールがどんどん変わっているので、質問する方の知識も必要です。
質問する場合は予備知識を入れておきましょう。
夜勤の回数、残業時間はどれくらいですか
シフトがちゃんと組めているか、人手不足がヤバい状態じゃないか、を確認するには夜勤の回数や残業時間を確認するのがわかりやすいでしょう。
本当は派遣職員の人数を聞けたらわかりやすいんですけどね。
介護事業所が派遣を使う理由って、人手不足が継続しているのを派遣で埋めるしかないって状態なので。
生産性向上の取り組みで行っているものはありますか
その事業所が国の方針に則った運営をしているかを確認するのに「生産性向上」はキーワードだと思います。
直接「生産性向上」のワードを出さなくても
「ICT機器で導入しているものはありますか」
「介護助手さんはいますか」
などで、どのような取り組みを行っているのかを確認しましょう。
長く働ける事業所を探したいなら、時流に合わせた運営ができているところがオススメです。
海外の介護士さんはいますか
これは、どちらが正しいかはわからないのが正直なところ。
自分の考え方と合うかどうかですね。
日本人だけでシフトが問題なく組めているならベストでしょう。
ただ、そんな事業所はかなり少ないと思います。
シフトがまともに組めない状況なのに海外人材も入れられていないのであれば、ジリ貧じゃないかなぁと個人的には思います。
採用の基準は常に変化している

どのくらい人手が不足しているかで採用基準が変わる
当たり前だけど、同じ事業所でもタイミングによって募集状況が変わります。
ただ、どの事業所でもイイ人がいればいつでも採用したいってところが多いんじゃないかなぁ。
その「イイ人」って基準が状況によって変わるって感じですね。
だから、気になる事業所があれば募集してなくっても連絡してみる価値はあると思いますよ。
うちの施設の募集状況
参考までにうちの特養の介護士の募集状況をお伝えしましょう。
常勤換算で0.8くらいの派遣さんが1人いるので、その方に変わる職員が欲しいですね。
常勤でも非常勤でも構わないって感じです。
あとは10数名いる外国人をできれば減らしたい。
海外人材でも長く残ってくれそうな職員がチラホラ出てきましたが数としては少ないので、少しずつ日本人に入れ替えができたらベストですね。
うちの施設の採用基準
日本人は随時募集中。
だけど地雷だけはさけたい。って感じでしょうか。
とにかく長く働いてくれる職員をひとりでも多く増やしていきたいという思いで、採用を行っています。
【まとめ】誠実に。等身大の自分で働ける事業所を探しましょう
大事なのはミスマッチをなくすこと。
採用する方としては、猫の手も借りたいほど人材が欲しい。でも短期間で辞められる方がマイナスが大きい。
っていうのが多くの事業所の状況ではないでしょうか。
真剣に比較をして長く働ける職場を見つけるのが、お互いにハッピーになれると思います。
この記事のコメント