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サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)での「不要な介護 横行懸念」過剰な介護は税金の無駄遣い

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バリアフリーの住まいで介護を受けながら生活できるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
厚生労働省の調査の結果、そのサ高住で不要な介護が行われているのではないかと新聞記事になっていました。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは何か

このニュースを正しく理解するには、まずサ高住とは何かを知る必要がありますね。

サ高住とは、

バリアフリーの集合住宅で、必要に応じて訪問介護が受けられる施設

です。

住宅部分については建物賃貸借契約を結び、介護サービスを受ける場合は別途サービス利用契約を締結するという形になっています。
一般的な賃貸住宅よりも高齢者が住みやすく、借りやすいのが特徴です。
生活の自立度が高い高齢者を想定した施設になっていますが、施設によっては重度の介護が必要な人も入居しています。
参考資料/サービス付き高齢者向け住宅の整備等のあり方に関する検討会 第3回資料(国土交通省)

この国土交通省のウェブサイトにある資料1-1の14ページ目に載っていますが、要介護3~5の利用者が約31%を占めています。
サ高住 入居者の要介護度

サ高住と有料老人ホームの違いは?

サ高住と似たような施設に有料老人ホームがあります。
どちらもバリアフリーの集合住宅で生活する施設ですが、契約形態に大きな違いがあります。
サ高住は前述のように建物の賃貸契約と介護サービスの契約が別になっていますが、有料老人ホームは利用権方式になっています。

有料老人ホームの利用権方式とは、入居する時に一時金を支払うことで、亡くなるまで居室と共用施設を利用する権利と、介護や生活支援サービスを受ける権利が保障される契約形態のことです。
住居もサービスも同一事業者によって提供される施設ということですね。

サ高住の不要な介護サービスが問題視されている

サ高住について理解できたところで、紹介したニュース記事の内容です。

ニュース記事では、

1.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の運営事業者が、不要な介護保険サービスを提供したり、自社の介護サービス利用を入居の条件にしたりする事例が横行している疑いがある

と問題提示されていました。

「不要な介護保険サービスの提供」「自社の介護サービス利用を入居の条件にする」といった2つの問題についてそれぞれ考えていきますね。

企業だから自社や関係業者に利益誘導するのは当然

まずはわかりやすい「自社の介護サービス利用を入居の条件にする」から考えてみます。
これは簡単に言うと囲い込みですよね。

サ高住で介護サービスを利用したい場合、基本的には訪問介護サービスを使うことになります。
サ高住では、建物の賃貸契約と介護サービスの契約が別になっていますので、どの訪問介護事業者を選んでも良いことになっていますが、それをさせないことが問題になっています。

入居契約の時に、建物内に併設された自社の訪問介護事業所(ヘルパーステーション)やデイサービスを利用しないといけない契約を結ばせるわけですね。

これで何が問題になるのかというと、今まで自宅で訪問介護を受けていた人がサ高住に入居した時に今までの訪問介護事業所を継続して利用できないことです。選択できる権利を奪ってしまうってことですね。
たとえ住む場所が変わったとしても馴染みのヘルパーさんにお世話をしてもらいたいと考えるのは自然なことだと思いますので、それが出来ないのは問題です。

ただ、サ高住を運営する企業だって利益を出さなければいけませんから、この契約を入居者に求めるのは当然だと僕は思いますね。

ちなみに国土交通省の前述の調査では、35%の住宅で運営事業者や提携事業者が事実上、入居者への訪問介護サービスを独占しているとの結果が出ています。
サ高住 併設の訪問介護を利用させている割合

判断が難しい不要な介護

2つ目の問題として「不要な介護保険サービスの提供」があります。
簡単に言うと過剰介護です。

訪問介護は、介護を受けた時間数によって介護報酬の額が増減します。
入居者の生活に必要のない介護までプランに組み込んでしまうことで、サ高住を運営している企業の利益になっているのが問題です。

特に、金銭的な自己負担がない生活保護者は介護保険の限度額ギリギリまでサービスを組み込まれている可能性が高いです。
一般の高齢者でも、介護保険の自己負担額は1割のため数千円程度。「お世話になっているし、それぐらいなら…。」と考える人もいるのではないでしょうか。
その数千円が企業にとって数万円の収入になります。

その財源は介護保険料と公費(税金)ですから、全国民に関わる大きな問題と言えるでしょう。

ただし、どこからが過剰な介護サービスかを線引きするのは非常に難しいと思います。
それがこの問題の厄介なところですね。

介護サービスを監視して、不要な介護サービスをなくすことが出来る人を作っていかないと解決していかないのではないでしょうか。
新聞記事にも「国土交通省と厚生労働省は自治体のチェック機能を強めるため、指導指針の策定など対策を講じる」と書いてありましたが、具体的な改善案はまだ先のようです。

まとめ

介護施設がまだまだ不足しているので、不要な介護サービスでも「やっとサ高住に住めた」というメリットの方が上まわっている現状もあります。
過剰な介護サービスは社会保障費の無駄遣いになり、まわりまわって介護サービスの質の低下につながると思います。
的確な規制と共に、介護施設やサービスを充実させていくことが問題解決につながるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

●ユニット型特養12年目
●課長(特養、ショート、デイ、居宅、包括)
●元ユニットリーダー、施設ケアマネ
●介護認定審査員、介護福祉士実習指導者、技能実習指導員
●介護福祉士、介護支援専門員

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