良い介護記録の書き方の基本を7つの事例から学ぼう!

パソコンで入力する女性
介護の仕事をするうえで避けて通れないのが「記録」です。
僕もどうやったら良い記録を残せるのか、日々試行錯誤しています。

先日読んだ「介護記録の書き方・読み方・活かし方―記録をケアの質につなげるために」という本に介護記録の書き方について、事例付きでわかりやすく解説してあったので内容を少しご紹介します。

記録の目的と、読む人のことを考える

介護の現場には様々な種類の記録がありますが、記録は書くこと自体が目的ではありません。
書かれた内容を他の職員へ伝えたりデータをアセスメントすることによって、より良いケアにつなげることが目的です。

そのため、記録は誰が何のために読むのかを意識して書くことが大切です。
どのように介護記録を残したらより良いケアにつなげることが出来るのか、介護記録の事例を紹介しますね。

介護記録の事例から良い書き方と悪い書き方を学ぶ

介護の仕事をしていると、いろいろな場面で記録を書くと思います。
場面ごとの事例とその記録の改善ポイント、それを踏まえた良い記録の例を7つ紹介しますので、参考にしてみてください。
項目は以下のとおりです。

「入居時の対応」についての記録

まずは入居時の対応についての記録です。
入居時の記録は、新しいご利用者さんやそのご家族の気持ちをくみ取って今後のケアを検討したり、今までの生活を知る目的があります。
今後のケアにつながる大切な記録になりますね。

【事例/入居時の対応】
A施設より入居される。健康状態はフェイスシートを参照。環境の変化に要注意。
本人より訴えがあったら、その都度、対応することとする。
帰宅願望がある時は「今日は泊まっていったら」と思いとどまらせる。

○改善ポイント

  • 入居時は誰と一緒だったのか、どのような手段か
  • 要注意とは具体的に何に注意するのか
  • 本人より訴えがなくても不安そうにしていたりとまどっていたりしたら対応が必要
  • 「思いとどまらせる」などの指示的な対応は、逆効果になる場合がある

【入居時の対応/良い記録の例】

長男(キーパーソン)ご夫婦に付き添われ、A介護老人保健施設より車で直接来園される。健康状態は事前情報と変わらないため、フェイスシートを参照のこと。生活環境が変化したことからさまざまな不安やとまどいに対する訴え、居室、食堂、トイレの場所がわからないことによる混乱や事故などが予想される。
訴えに対しては、受容、傾聴を基本として対応し、不安そうな表情や行動がみられたら声をかけてしばらくそばにいるようにする。
「家に帰りたい」とおっしゃる場合には、「今日は泊まっていかれてはどうですか」と声をかけ、その時の言動や対応を丁寧に記録しておくこととする。
ご本人は不安そうな表情を見せていたので、すぐに近づいてあいさつをすると「よろしくお願いします」と小さい声ながらしっかりとした口調で答えた。

いかがでしょうか。
ここまで立派な記録を書く必要はないかもしれませんが、入居時のご本人の様子や予想されるリスクについて記録することで今後のケアの方針を立てる手助けになります。

入居時は、ご利用者さんの情報が不十分なことが多く、細かいことでも気がついたことを記録に残すことで具体的な支援策を検討することが出来て、より良いケアにつながっていきますよね。

「夕食の延食」についての記録

食事には、エネルギーを体に取り入れて生命を維持する重要な役割があります。
それだけ食事の記録も大切だということですね。

食事の記録には、バランスよく栄養が取れているかを知る、口腔・嚥下機能などの健康状態を把握して誤嚥などの事故を予防する、急に体調を崩した時に原因を知る手がかりとなるなどの目的があります。

また、食事の記録によってご利用者さんの好き嫌いを把握して、QOLの向上に活かすこともできますね。

【事例/夕食の延食】
夕食時、食が進まない様子で手が止まっている。
理由をおうかがいしたが、ただ首を横に振るばかり。
延食として、様子観察とする。

○改善ポイント

  • 「食が進まない様子」は推測なので、客観的な事実を書く
  • どの段階で手が止まったのか。初めから手を付けないのか、途中からなのかをはっきりさせる
  • 理由は、どのような問いかけをしたのか具体的に
  • 延食はどの程度の時間なのか
  • 他の症状や変化の有無を観察する、何をいつまで観察するのか

【夕食の延食/良い記録の例】

いつもと変わりなく食事を始めたが、5分ほどすると、お膳の箸を手にしたままぼんやりとしているのに気がつく。
「どうしたんですか」「食べたくないんですがか」とおうかがいしたが、返事はなく、ただ首を横に振るばかり。
「嫌いなおかずでしたか」「どこか具合の悪いところはありませんか」という問いかけにも答えはない。
顔色もよく、特に痛みや体調の悪さもないとのことなので、無理強いせずに延食として、顔色や表情などの様子をみることとする。
1時間後の様子によって、食事または補色などを考えることとする。

具体的な会話を記録に残すことで、食事摂取できなかった要因を探ることができます。

食事を食べたくないのか、食べたいのに食べられないのか。
初めから食べたくないのか途中からなのか。
身体的、心理的な要因なのか。
環境によるものなのか。

などと、食事の摂取状況に変化がある場合は、要因を探って明確に記録することが大切ですね。
食事は生命の維持に直結していますので、変化が見られた時は、すぐに相談員や看護師などに報告して状況を共有しないといけませんね。
介護職員が最初に気がつくことが多いですから、積極的に情報を発信して多職種との連携を取っていく必要がありますね。
参考/介護施設で働く介護職の僕が、スムーズな多職種連携をするために意識していること

「飲み物の摂取方法」についての記録

【事例/飲み物の摂取方法】
おやつにリンゴジュースをお出ししたが、ストローでは飲みにくいようで時間がかかっていたため、カップに入れて差し上げた。

○改善ポイント

  • これまではストローで飲めていたのか
  • 時間がかかっていたとは、どの程度の時間なのか
  • カップに入れた結果どうだったのか

【夕食の延食/良い記録の例】

りんごジュース200㏄をいつものようにストローで飲んでいたが、20分ほど経っても3分の2以上飲み終わっていなかった。
「残されますか」とお聞きしたところ、首を横に振り、グラスを引き寄せた。
吸い込む力がないのか、吸い込む要領がわからないのか不明だったが、試しにカップに入れてお勧めすると、カップを手にしてスムーズに飲むことが出来た。
今後は、飲み物をカップで提供することにする。

ケアの方法を変更した場合は、うまくいった時もいかなかった時も結果を記録に残して情報を共有することで、一貫したケアを提供できるようにします。
単なる思いつきやその場だけの介護にならないように記録を積み重ねて、その結果をアセスメントしていけるといいですね。

「食事時の体調急変」についての記録

【事例/食事時の体調急変】
朝食時、胸痛の訴えあり。食事摂取を中止。
BP132/84、P68、SPO2 90%
臥床していただく。

○改善ポイント

  • 「朝食時」とはどの時点なのか
  • 訴えの内容を具体的に
  • 食事摂取の中止は誰の判断なのか
  • 臥床した理由は

【食事時の体調急変/良い記録の例】

朝食時、席に着いた直後に「胸が痛い」との訴えあり。
BP132/84、P68、SPO2 90%
顔色は良く、言葉もはっきりしている。
胸の痛みは初めてで、急に痛くなったというので、介護リーダーと相談のうえ朝食は看護師が出勤するまで延食対応とする。
居室に誘導し、ベッドに臥床して安静にしていただく。

利用者さんが身体の不調などを訴えた時や介護職員が様子がおかしいことに気がついた時は、思わぬ大きな病気が潜んでいる可能性もあります。
バイタルサインのチェックを行い、その他の症状も気がついたことがあれば記録に残しておきましょう。
また、その後の経過や医師・看護師の判断や指示も記録に残して今後同じような症状が出現した時もあわてずに対応できるように記録を役立てたいですね。

「トイレ誘導」についての記録

排尿や排便の時間や、その前後の動作の記録から、ご利用者さんの排泄リズムを把握して適切な声掛けやトイレ誘導を行なうことで自立した排泄につながる可能性があります。
また、排泄物の色、量、においなどからご利用者さんの体調や病気の早期発見につながることもありますね。

【事例/トイレ誘導】
トイレ誘導を行なうも失禁あり。
交換する。

○改善ポイント

  • いつ、どのようなタイミングで誘導したのか
  • 何を交換したのか具体的に
  • 本人の様子についても書く

【トイレ誘導/良い記録の例】

そろそろ排尿のタイミングなので姿を探したところ、廊下のベンチに座っていた。
近づいてトイレにお誘いしたが、すでにズボンがぬれていた。
トイレにお連れして清拭を行ない、下着とズボンを更衣する。
本人は「便所がどこにあるのかわかんなかったんだよ」とおっしゃる。
少し前に廊下を歩いていたので、その時にトイレを探していたものと思われる。
誘導の再検討とトイレの場所が簡単に確認できるような工夫を検討する必要がある。

試行錯誤して排泄介助を行なった結果をていねいに記録して、それを活かして次のアプローチを考えていくことで利用者本位の生活に近づけることができます。

「帰宅願望」についての記録

【事例/帰宅願望】
帰宅願望が強く、何度も訴えあり。
その都度対応する。

○改善ポイント

  • なぜ帰りたいのかを会話などから推測する
  • いつ、どのような状況で訴えているのか。時間帯や場所がある程度決まっているのかどうか。
  • どのように対応したのか

【トイレ誘導/良い記録の例】

「家に帰ります。タクシーを呼んでください」とバッグに洋服をつめこんで職員に話しかける。
「おうちはどこですか」とうかがうと「○○です」と実際の住所とは違う地名をおっしゃった。
「あそこまではずいぶん遠いですね。タクシー代も高くなりますよ。お急ぎでなければ、あと1時間もすればバスが来ますので、少し待ってみてはどうですか」と時計を指さすと「ああ、1時間ね。ここで待たせてもらっていいんだね」とソファに座る。
温かいお茶を差し上げると、落ち着いたようでゆっくりと飲んだ

「帰宅願望」とひとくくりに表現してしまいがちですが、帰りたい場所も理由も人それぞれです。帰宅願望がきかれた時の言動を具体的に記録してアセスメントを行なうことにより、効果的な対応が出来るようになっていきますね。

「転落事故」についての記録

事故の記録は、経緯などが明確に記録され、誰が見ても、どのように事故に気づき、どのような状況で、どのように対応し、その結果どうなったか、さらに対応が適切だったかを確認できることが重要です。
このような情報がそろって入れば、記録を元に原因究明や再発防止策を考えることができますね。
万が一、トラブルや訴訟などに至ってしまった場合には、事故の記録が重要な証拠として扱われます。

【事例/転落事故】
コールがあり訪室する。
ベッドの下に座り込んでいるのを発見。
「車いすに座りそこねて。最近調子が悪くってね」とおっしゃる。
ボディチェックをしたが、特に異常なし。

○改善ポイント

  • どのような内容のやり取りがあったのか具体的に
  • 観察した内容を具体的に
  • 「調子が悪くってね」とはどこがどのように調子が悪いのか
  • 誰がボディチェックを行ったのか

【転落事故/良い記録の例】

コールがあり「助けてくれー、落っこちたー」というAさんの声が聞こえた。
急いで居室に向かうとベッドの下に座り込んだ状態でいたため、「大丈夫ですか、頭を打っていませんか」と声をかけ、ゆっくりと抱え上げるようにしてベッドへの移乗介助をする。
B看護師を呼び、ボディチェックを行う。外傷、痛み、腫れ、可動域制限などの異常はないとのこと。
「落っこちてしまった」時の状況を聞くと、「車いすに移ろうとしたら、、足がもつれたようになって落ちてしまった。このところ足がもつれることがよくあるんだ。どうも調子が悪いみたいでね」とのこと。
B看護師と協議し、医師による診断と服薬の確認、PT(理学療法士)による筋力などの機能評価を行うこととする。

事故の記録では、必要な情報を客観的な事実に基づいて明確に記録することが大切ですね。
再発防止するためにも出来る限り詳細に情報を記録して、後で分析できるようにしたいですね。

まとめ

どの事例についても、会話の内容や気がついたことをそのまま記録に残すことが大切ですね。
忙しい業務のなかで詳細な記録を残すのは大変ですが、後回しにせずにすぐに記録を残すくせをつけていきたいなと思います。

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この記事を書いた人
ヒデ(@marukaigo)
30代、男性
ユニット型特養で働いてる介護福祉士
介護業界6年目、ユニットリーダーやってます
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