「介護職員への再就職で20万円貸し出し」は、介護人材の確保策としてほとんど効果がない

お金
新たな介護離職ゼロに向けた政策が厚生労働省より発表されたと、きじニュースになっていました。

安倍晋三政権が掲げる「1億総活躍社会」の目標のうち「介護離職ゼロ」実現に向けた人材確保のため、厚生労働省は15日、結婚・出産・育児などで離職した介護職員に、再就職のための準備金20万円程度の貸し出しを2016年3月までに始めることを決めた。
福祉や介護分野で5年間働けば、返済を免除する方針。
18日に閣議決定される15年度補正予算案に介護人材確保策として約500億円を盛り込む。

介護職員の再就職、20万円貸し出しへ 厚労省/Sankei Biz

安倍首相も「内外情勢調査会2015年12月全国懇談会」でのスピーチで、この話題にほんの少しだけ触れています。

「介護離職ゼロ」を目指し、2020年代初頭までに50万人分の介護施設を整備していきます。
  同時に、保育や介護に携わる人材を確保する。しっかりと数値目標を掲げ、政策を総動員します。
  保育士や介護福祉士を志す方々には、返還が免除される奨学金制度を拡充します。さらに、一旦仕事から離れた方でも、「もう一度復職しよう」という方がいれば、再就職のための準備金を、新たに用意します。あらゆる手立てを講じることで、今後、保育について9万人、介護について25万人の人材を確保してまいります。

平成27年12月14日内外情勢調査会2015年12月全国懇談会 安倍総理スピーチ/首相官邸ホームページ
※動画/36分35秒あたりから

スピーチにておっしゃっている「あらゆる手立て」というのが20万円のばらまきだとしたら、とてもじゃないけど25万人もの介護人材を集められるような政策ではないでしょう。

もう一度、介護の仕事をするなら20万円あげます。でも5年以上続けてね

この施策の内容をわかりやすく表現すると「もう一度、介護の仕事をするなら20万円あげます。でも5年以上続けてね」ということです。
条件を箇条書きにすると、

・結婚、出産、育児などで離職した介護職員が対象
・介護職として再就職すれば20万円あげます
・でも、5年以内に辞めたら20万円返してもらうからね

結婚、出産、育児などで離職した介護職員が対象

対象となる人材は、「結婚、出産、育児などで離職した介護職員」なので、この時点でかなり限定されそうですね。
つまり、人数が少なそうだということ。

しかも、5年以上働かないといけないということが、かなりのハードルになりますね。
20万円を人質に、長期間の労働を求められることが割に合うと考える人は少ないでしょう。

ネットの反応

ネット上でも厳しい意見がほとんどでした。

・こんな制度より基本給を上げろ
・現役で一定の期間しっかり勤めている者の基本給を見直さないと
 離職なんか本人の勝手
 少しでも待遇を整えないと、こんな愚策では無理です
・給料上げるつもりはないんだな
 20万やるから安い給料で5年間働けw
・なんでも継続より新規が優遇されるんだよ

ごもっともな意見ばっかり。
完全に場当たり的な対策で、根本的な解決には全くなっていないですよね。

保育士についても同様の施策がニュースになっていましたが、こちらも全く同じことがいえます。

保育士9万人確保へ緊急対策 厚労省、一時金で復職促す/2015年12月18日 日経新聞朝刊

まとめ

介護事業者がきちんと利益を上げられるようにして、その結果として介護職の基本給を上げられるような努力をしないと介護士の確保は出来ないでしょう。

介護事業は、小規模な事業者が乱立している現状があります。
そこをうまく構造改革できれば、利益を上げられる企業が出てくるのではないでしょうか。
介護事業者の利益が上がり、介護職員の待遇も改善していくのが自然な流れだと思います。

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この記事を書いた人
ヒデ(@marukaigo)
30代、男性
ユニット型特養で働いてる介護福祉士
介護業界6年目、ユニットリーダーやってます
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